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16 章 食品の安全性

9.正常および異常プリオン
【解説】
 牛海綿状脳症(BSE)は、「異常プリオン」による人獣共通感染症です。プリオンには、正常型タンパク質と、正常型をもとに複製されると考えられる、ヒトへの感染力をもつ変異型タンパク質とがあります。両者のアミノ酸配列は同じですが、立体構造に大きな違いがあります。正常型はゲノムにコードされ、もともとあるタンパク質です。種を越えてかなり幅広く保存されている事がその重要性を示唆しています。しかし、らせん型(ヘリックス型)の構造部分がなく活性のない正常型が、ベータシート型の構造部分が多く、水に溶けにくい分子の型をとる変異型に変化するきっかけや、130℃以上の高熱をかけないと失活しないことなど、生理学的な働きについては未知の部分が多いのが実状です。
 ヒトのプリオン病には、1)原因不明の孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、2)遺伝性の家族性致死性不眠症(FFI)、3)感染性のタイプ:BSE由来のとされる変異型CJD――をはじめ、食人習慣によるパプア・ニューギニア地方のクールーや乾燥硬膜移植後CJDなどもあります。動物のプリオン病はBSEのほかに、200年以上前から知られているヒツジのスクレイピー、北米大陸で問題となっている野生鹿のプリオン病などがあります。

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