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16 章 食品の安全性

8.食品の安全と牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)
【解説】
 食品の安全を考える上で、「牛海綿状脳症(BSE)」は重要な問題です。
 「牛海綿状脳症(BSE)」はBovine Spongiform Encephalopathy の略称で牛の病気の1つです。BSEの発症メカニズムの解明は、経済的にも急務となっています。
 潜伏期間は一般に4〜6年と考えられ、現在においては、生前診断法や治療法はありません。原因はBSEプリオン(タンパク質)が主に脳(66.7%)に蓄積して脳の組織がスポンジ状になることであり、運動失調や異常行動などの中枢神経症状があらわれます。脳以外に脊髄(25.6%)、眼、脊柱、扁桃、回腸遠位部にも蓄積され、脳を含めたこれらの部位に99%以上のBSEプリオンがたまります。したがって、わが国ではこれらを特定危険部位(SRM)と定めています。万が一の人への感染を避けるため、牛をと畜場で食肉に解体する際、あらゆる月令の牛からSRMを取り除き、食肉として流通させないようにしています。BSE診断法は、延髄の閂(カンヌキ)部を採取し、エライザ(ELISA)法を用いて第一次検査を行います。陽性が疑われると確定検査として、ウエスタンブロット法か免役組織化学検査が行われます。牛への感染は、BSEプリオン含有肉骨粉を混入した飼料で起こるため、その給餌は禁止されています。

【用語説明】
エライザ(ELISA;Enzyme-linked immunosorbent assay)法
固層酵素免疫測定法の略。抗原や抗体をプラスチック表面等に固層化し、酵素標識した抗体などを用いて、高感度に抗原(タンパク質)などを定量する方法。

ウエスタンブロット(Western blot)法
DNAおよびRNAの分析法にサザンブロット法、ノーザンブロット法という呼び名が用いられていたため、タンパク質の類似の分析法が、ウエスタンブロット法と呼ばれるようになりました。タンパク質を電気泳動法により分離した後、ナイロンなどの薄膜上に写し取って(blot)、膜上のタンパク質を酵素標識抗体などによって検出する分析法。

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