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13 章 微生物や動物細胞が生産する薬
1.抗生物質
【解説】
微生物はさまざまな物質をつくることが知られており、それらの中には抗生物質と呼ばれる“薬”として利用されている化学物質があります。「抗生物質」とは「微生物が生産する物質のうち他の微生物の生育を阻害する物質」と定義されています。抗生物質は人や動物の細菌感染症の治療薬として使われており、現在では抗癌薬、駆虫薬、免疫抑制薬あるいは高脂血症治療薬のような微生物に作用しないものも、広い意味で抗生物質として扱われています。抗生物質は、医療に多大な貢献をした20世紀の大発見の1つです。
抗生物質は、人間や動物には存在しませんが、細菌が生育していく上で必要となる特有の構造・生体機構を阻害することにより、細菌だけを攻撃することができます。たとえば、ペニシリン生産菌の周辺は、生産されたペニシリンにより黄色ブドウ球菌の生育が阻害されています。
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