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13 章 微生物や動物細胞が生産する薬
10.ヒト化抗体
【解説】
癌細胞の表面に特異的に生産される物質や病気の原因となる物質を認識して結合し破壊する抗体は、新しい医薬品として注目されており、乳癌やリウマチ治療用の抗体をはじめ多くの抗体が実用化されつつあります。こうした抗体を大量に生産するためには、動物に原因物質を免疫してつくりますが、動物の抗体はヒトでは異物と見なされますので治療には使えません。そこでマウスを免疫して抗体を誘導した後、その遺伝子を分離します。この遺伝子のうち抗体分子先端の異物を認識する部位のみを取り出します。次に異物を認識する最低限の部分以外をヒト由来のものと入れ替えます。このように、遺伝子上で作製したヒト化抗体を動物培養細胞などに導入して生産すると、できた抗体分子の大部分はヒト由来の遺伝子からできたものであり、ヒトの抗体と同じ構造を持っているので、体内で異物として認識されることはありません。
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