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13 章 微生物や動物細胞が生産する薬
9.抗体医薬
【解説】
バイオ医薬品の中でも治療用抗体が、今最も注目されています。抗体は異物(病原菌等で抗原と呼ぶ)が侵入すると、わたしたちの体の中でこれに結合し、不活化するタンパク質として生産されます。体の中でできる抗体は、抗原分子のいろいろな場所を認識・結合する抗体分子の混合物です(ポリクローナル抗体)。ある特定の場所を認識する抗体(モノクローナル抗体)をつくるためには、抗原で免役したマウスから抗体をつくるB細胞(培養が難しい)を分離し、培養が容易な癌細胞を融合して「あいのこ細胞」であるハイブリドーマをつくります。このハイブリドーマを培養すればモノクローナル抗体が生産できますが、ヒトのB細胞と癌細胞でハイブリドーマをつくることは難しく、したがってマウスの細胞が使われています。一方、マウスの細胞でできた抗体は、ヒトでは異物として認識されてしまいますので、さらに細工が必要です。通常マウスの抗体遺伝子とヒトの抗体遺伝子を連結し、ヒト型抗体遺伝子を作製して、動物細胞に導入し、ヒト化した抗体分子を生産します。
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