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10章 お酒の製造法
5.グレーンウイスキーの製造法
【解説】
グレーンウイスキーは、トウモロコシや小麦等の発芽させていない穀類(グレーン)と麦芽と水を主原料とします。モルトウイスキーに比べて、原材料が種々の穀類ですので、蒸留される成分が原料穀類により幅が広くなり過ぎるため、現在では、連続式蒸留器で蒸留します。今でも製品の特徴を出す目的で、単式蒸留器で繰り返し蒸留する方法を採用しているものもあります。
デンプン質を多量に含むトウモロコシなどを蒸煮して、デンプンのアルファー化を行います。これに麦芽を加え(麦芽の酵素:アミラーゼ)て糖化し、次いで酵母を加えて発酵させます。発酵終了液(醪:もろみ)を順次に連続式蒸留器に送り込み蒸留したものを、モルトウイスキーと同様に樽に詰めて、貯蔵・熟成をします。以降、モルトウイスキーと同様に処理がされて、瓶詰製品のシングルグレーンウイスキーができます。
【用語説明】
アルファー化
デンプンの結晶構造がなくなり、糊化することをアルファー化といいます。アルファー化することによって、アミラーゼによる糖化が容易になります。蕎麦や素麺をゆがいた状態が、これに相当します。
連続式蒸留器
石油化学コンビナートの石油の分留と同じ仕掛けの、塔の形をした蒸留装置。成分が精度よく分離されるので、蒸留されたお酒の味・香りは、単式蒸留器に比べて比較的淡白になります。この分離の効率を変更することによっても、お酒の品質を変えることができます。
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