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10章 お酒の製造法

4.モルトウイスキーの製造法
【解説】
 モルトウイスキーは、二条大麦と水を主原料とします。大麦を発芽させてつくる麦芽の乾燥に用いる燃料の泥炭(ピート)の匂いの付着が、スコッチウイスキーの香りの特徴ともなっています。また、蒸留した酒精液(アルコール度数65〜70%程度)をホワイトオークなどでつくった樽に詰めて、貯蔵・熟成します。熟成後に樽から出され、飲みやすいアルコール度数に水を加えて調整し後熟します。これを濾過して壜に詰めたものがシングルモルトウイスキーで、樽から取り出した後に、他のモルトウイスキーやグレーンウイスキーなどとブレンドして、新たな品質に仕上げたものがブレンドウイスキーです。
 発酵は糖液に酵母(Saccharomyces cerevisiae)を加えて行います。できた発酵終了液(醪:もろみ)を単式蒸留器で固形物と留出部分に分けます、これを初留といい、ついで、留出部分を別単式蒸留器で蒸留します。これを再留といいますが、再留では初留・本留・後留部分に分け、本留部分を樽に詰めて貯蔵・熟成がされます。初留では発酵に用いた酵母成分が熱分解されて留出部に含まれ、再留では余留液(前回の前留と後留)を混ぜて蒸留します。これによって、蒸留所の貯蔵前の原酒の伝統的個性と品質ができます。

【用語説明】
ホワイトオーク
 ブナ科の落葉広葉樹で楢(ナラ)と呼ばれることが多い。正式には水楢(ミズナラ)といいます。

熟成
 樽の木材成分の蒸留原酒による抽出や、それらの成分と酒精成分の自然な化学反応、または単独の酸化などによって、新たな香味と琥珀色の着色が起こります。これを熟成といい、ウイスキー原酒の品質的特徴となります。

後熟
 新たに混ぜ合わされた原酒や水が調和をし、余分な成分が沈殿をするなど、香味を安定させるプロセスをいいます。

単式蒸留器
 蒸留ごとに醪を蒸留釜に入れて蒸留する形式で、アランビックという古来からの形状をもち、蒸発する成分を分離する能力は高くありませんが、これがモルトウイスキーの伝統的な香味成分を蒸留するのに適しており、ウイスキーの蒸留には銅製のものが使われます。

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