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9章 遺伝子組換え
8.生殖系列と体細胞系列
【解説】
多細胞生物では、身体を作る体細胞で起こる遺伝現象と、親から子へ伝わる生殖細胞の系列での遺伝現象を区別しなければなりません。癌や他の病気の多くは体細胞系列で起こる異常で、これらは世代間を「遺伝」しないので、遺伝子が関与していていも「遺伝病」とは言いません。そして、現在、遺伝子治療と呼ばれているのは、おもにこの体細胞で起こった異常を正す遺伝子の操作のことです。これに対して、遺伝病は、生殖細胞を通じて世代間に伝わって発病する病気です。遺伝病によって起こった身体の異常を遺伝子治療する試みはありますが、遺伝病そのものを治すわけではありません。また、作物や家畜における育種や品種改良でも、生殖細胞のゲノムで変化がおこることが必要です。
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