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8章 動物の生活環

11.フェロモンの生合成とその制御
【解説】
 フェロモンは直接的な利用のほかに、その生産や受容をコントロールして害虫防除を行うことも考えられます。まずそれらのメカニズムを知る必要があります。
 生産している細胞や器官が特定されていないフェロモンも多く存在しますが、たとえば雌蛾は腹部末端にフェロモン腺をもっています。そこに14Cなどの放射性同位元素や重水素で標識した推定前駆体を塗布することで、合成経路が明らかにされてきました。ボンビコールのようなタイプIのフェロモンは、アセチルCoAからデノボ合成されますが、タイプII(エポキシアルケン類)を分泌するシャクガ類では、エポキシ化の過程のみがフェロモン腺で進行します。
 フェロモンの特異的な阻害剤についても研究されており、さらに反応にかかわる酵素の遺伝子も解明されつつあります。また、フェロモン生産は明暗のリズムに同調して進行しますが、それは頭部に存在する食道下神経節から分泌されるペプチドホルモン(PBAN)が生合成を制御していることがわかっており、その作用機構が追究されているところです。

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