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8章 動物の生活環

10.害虫管理への利用
【解説】
 性フェロモンは、異性を引きつける効果にすぐれています。特に雌の蛾が分泌するものは強力で、1mgの合成フェロモンをゴムキャップに含浸させたものは、2ヵ月以上も誘引力を持続し、それを誘引源としたトラップが発生予察のために市販されています。一方、ポリエチレンチューブに約100mgを封入したフェロモン製剤を10a当たり50〜300本ほど設置し、圃場を合成フェロモンで覆うことにより、雌への定位を阻害する交信攪乱法が実用化されています。クモなどの天敵に無毒な環境に優しい防除剤として、総合防除(IPM)の一手法として注目され、綿の害虫を中心に米国・ヨーロッパ・日本を中心に、約20種類の害虫の防除に利用されています。

【用語説明】
発生予察
 殺虫剤散布の必要性や適期を判断するために、誘蛾灯への誘殺数など から害虫の発生時期や発生密度を推定します。

【用語説明】
交信攪乱法
 フェロモンによる雌雄間のコミュニケーションを高濃度な合成フェロモンで妨害すると、交尾し受精卵を産む雌が減少し、次世代の害虫密度が抑えられます。

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