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7章 植物の生活環
11.種子の形成
【解説】
受精により形成された卵より胚が形成され、胚乳や種皮を含むいくつかの組織から、種子が構成されます。胚は、根とシュート(幼芽)および子葉を含んでおり、子葉には、発芽後の生長に使われる栄養分が貯えられています。一方、穀物や胚乳性のマメ科植物などでは、胚乳に栄養分が貯えらてれおり、これらの種子は食糧資源として重要な役割を担っています。「発芽と休眠」で述べたように、受精後形成された胚は、不適切な生存環境での長期間の貯蔵に耐えられるように成熟し、乾燥耐性を獲得します。この過程を種子の登熟といい、アブシジン酸誘導性の遺伝子が関与しています。
種子における貯蔵タンパク質は、特によく研究されており、その遺伝子は、もっとも早くに単離されたものです。さらに、その遺伝子の発現制御や、細胞内での蓄積が詳細に解析され、植物における遺伝子の役割を知る重要な材料として、また、食資源のさらなる改良のために、現在も研究が積極的に行われています。
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