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7章 植物の生活環

8.受精
【解説】
 生活環を完了する上で、花粉と卵の受精が必要です。多くの植物では、1つの花の中に雌ずい(めしべ)と雄ずい(おしべ)があり(両性花と呼ばれます)、雄ずいで作られた花粉が、雌ずい先端の柱頭に付着すること(受粉)により、受精が進みます。受粉した花粉は、吸水・発芽し、花粉管を雌ずいの中へと伸長させていきます。花粉管の中には、小さな精細胞が含まれており、それが卵細胞に送り届けられると受精が行われます。
 雌ずいには、昆虫などによってさまざまな花粉が運ばれてきますが、植物はこの受粉から受精に至る生殖過程で、適切な交配相手を選択しています。たとえば種の異なる花粉は、交配相手として不適切であり、受精過程で除去されます。この性質は「種間不和合性」と呼ばれていますが、その機構はまだほとんどわかっていません。多くの植物は、同じ種の花粉であっても、自己(同じ植物体)の花粉を除去する性質をもっています。「自家不和合性」と呼ばれるこの性質は、自殖による悪い影響(自殖劣勢)を避け、種の遺伝的な多様性を維持していくために、とても重要な性質だと考えられています。今、この自家不和合性を制御している遺伝子の役割(アブラナ科)がわかりつつあり、自家不和合性の制御によって、よりよい性質をもったハイブリッド種子の生産が試みられています。

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