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5章 物質の代謝
15.フェニルプロパノイドの機能(1)
【解説】
●リグニン
リグニンは、植物細胞壁を構成するセルロースおよびヘミセルロースを固着すると共に、細胞同士を接着することにより、細胞壁並びに植物体に物理的強度を付与します。また、リグニンは、水分を運搬する維管束から水が途中で拡散消失するのを防いでいます。なお、リグニンは、蘚苔類には存在せず、維管束植物には普く分布しています。すなわち、リグニン生合成系の獲得は、維管束植物の進化に必須です。なお、植物が病原菌の攻撃を受けた際に、感染部位の周囲に新たにリグニンが生合成され、侵入菌の蔓延に対する物理的障壁となっています。
●リグナン
種々のリグナンが、抗菌性等、微生物・植物・昆虫等に様々な生理活性を示すことが知られていますので、リグナンは植物の生体防御に関わっていると考えられています。またリグナンは、樹木特有の形質である心材(樹幹の中心部の全て死細胞からなる木部で、濃色に着色していることが多い)に著量蓄積しており、心材の耐朽性付与に関わっていると考えられています。
●ノルリグナン
ある種のノルリグナンは、ファイトアレキシン(微生物にさらされた後に、植物中で合成され蓄積する低分子の抗菌性の化合物)として知られています。また、多くのノルリグナンは、樹木特有の形質である心材に著量蓄積しており、心材の耐朽性付与に関わっていると考えられています。
●スチルベン
ある種のスチルベンは、ファイトアレキシンとして作用します。
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