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5章 物質の代謝

11.微生物・動物の生産する二次代謝物
【解説】
 微生物の中でも土壌細菌である放線菌類およびカビ(真菌)類が、数多くの二次代謝産物を生産することが知られています。これまでに見出された化合物は、放線菌で10,000以上、カビで6,000以上になりますが、未知微生物の多様性(既知微生物の100 倍〜1万倍)を考えると、微生物はこれからも未知化合物の宝庫であるといえます。
 微生物は培養によって増やすことができ、微生物が二次代謝産物として生産する有用物質も大量に得ることが可能です。これまでに、抗生物質をはじめ、抗癌剤、抗寄生虫剤・殺虫剤、除草剤など多くの有用物質が医薬品、農薬等として利用されています。それら有用物質の発見、開発のほとんどは農芸化学者によるものです。
 カビの生産する二次代謝産物のうち約1割は、ヒトや家畜に対して毒性を示し、それら毒性物質はマイコトキシンと呼ばれています。マイコトキシン生産菌は農作物に感染し、農作物のマイコトキシン汚染を引き起こします。中でもアフラトキシンは、天然のなかでは最強の発癌性を有しており、厳しい規制が必要です。すでにアメリカ、アフリカ、中国などでは、ピーナッツやトウモロコシのアフラトキシン汚染が深刻な問題となっています。

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