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5章 物質の代謝
8.電子伝達系(明反応)と2つの光化学系
【解説】
葉緑体チラコイド膜上に存在する電子伝達系(明反応)は、膜に埋もれた3つのタンパク質複合体と、それらをつなぐ電子伝達担体から構成されています。3つのうち2つの複合体には多数のクロロフィル分子が結合しており、光エネルギーを吸収して、電子伝達を駆動します。光化学系IIでは、吸収した光エネルギーにより水から電子を引き抜き酸素を発生します。引き抜かれた電子は電子伝達系を経由して光化学系Iに入り、非常に強い還元力をもつNADPH ができます。また電子伝達系は、チラコイド膜の内外にプロトンの勾配をつくり、この電気化学的エネルギーを利用してATP合成酵素複合体によりATPがつくられます。最近の研究では、光化学系Iのみを使う循環的電子伝達系により、ATP をつくり、ATP:NADPH の調節を行っていることがわかってきました。
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