|
4章 核酸
8.形質転換
【解説】
細胞が他の細胞に由来するDNAを取り込み、自身のDNAと組換えることにより、その遺伝的な性質を変化させることを形質転換(transformation)といいます。微生物遺伝学において見出されたものですが、その後、高等動植物の細胞においてもさまざまな方法により形質転換が起こることが明かとなりました。形質転換に際して、外部のDNAを取り込めるように処理された細胞をコンピテントセルといいます。
現在では、形質転換法を応用した遺伝子工学技術により、ヒトをはじめとする異種生物由来の遺伝子DNAを、大腸菌をはじめとする細菌や動物細胞に導入して、さまざまな生理活性タンパク質を大量に生産することが可能になりました。たとえば、ヒト成長ホルモンやヒトインスリンの生産などがあげられます。また、作物の品種改良などにも応用されています。
なお、上記とは別に、細胞が癌細胞あるいは類似の形質に変化する現象も形質転換といいます。
Copyright(c)2006 Japan Society for Bioscience,Biotechnology,and Agrochemistry. All Rights Reserved. |
|