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15 章 遺伝子組換え食品

5.食料の増産と健康の維持・増進
【解説】
 遺伝子組換え技術は、食料の増産のみならず、栄養状態の改善、感染症や生活習慣病の予防など、健康の維持・増進に効果がある食品の創製にも応用されています。通常の食事をしながら、栄養状態の改善や疾病の予防ができるようになります。このような食品は、ニュートラシューティカル(Neutraceutical:日本語では「生理機能性食品」)と呼ばれます。これにより、多くの人々が遺伝子組換え技術の恩恵をこうむるようになってきました。感染症が多く、栄養状態も悪い開発途上国や熱帯地域への技術転移も急がれています。
 体の免疫力を増加させて疾病を予防する遺伝子組換え作物が作成されています。その方法は、能動免疫と受動免疫に分けられます。前者は、ワクチンを作物につくらせ、それを摂取することにより体に抗体をつくらせ免疫力を高める方法です。後者は、抗体を作物につくらせ、それを直接摂取する方法で、即効性が期待できます。また、ワクチンによっては抗体誘導力が弱い(免疫寛容といいます)ものもあります。そのような場合には、ワクチンをコレラ毒素などの一部と融合させて用いられます。このような方法で、多様なニュートラシューティカルがつくられています。医薬的な機能を持つ食品の場合には、詳細な安全性評価が行われます。

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