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10章 お酒の製造法
11.ワインの製造法
【解説】
ワインとは、果実(一般にブドウ)を原料とした醸造酒をいいます。非常に長い歴史をもった酒であり、世界の消費量はビールに次いで二番目です。もともとブドウは糖分が多く、酸、ミネラルなどの成分が理想的な配合で含まれており、そのまま原料となるのが穀物の酒と異なるところです。したがって、ワインの品質は原料ブドウの影響を強く反映することとなります。貯蔵や輸送が困難な生のブドウを原料として使用するため、その土地の気候・風土と結びつき、さまざまなワインがつくられているのです。これほどバラエティーのある酒は類をみません。
赤ワインと白ワインの大きな違いは、赤ワインでは、果皮に色のついたブドウを原料とし果皮、種子と果汁を一緒に発酵させて圧搾しますが、白ワインは、破砕後すぐに圧搾し、得られた果汁のみを発酵させる点にあります。赤ワインは、発酵中に果皮や種子からアントシアン(植物色素)やタンニン(渋味成分)が溶出して、特有の色や味わいを形成します。一方白ワインは、通常果皮に色のついていないブドウを使用しますが、一般に果汁にはアントシアンが含まれないので、赤や黒色の果皮のブドウからでもつくることもできます。
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