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7章 植物の生活環
13.微生物感染
【解説】
植物に感染する微生物は、大きく分けて、植物の生育に害を及ぼす「病原微生物」と、植物と互いに協力して共存している「共生微生物」に分けられます。病原菌は、土壌中に生息していたり、風や雨による表面への付着や虫による媒介によって感染します。病原菌の中には毒素を作り、生育阻害や農作物の汚染の原因となるものがあります。共生微生物は、植物と栄養分等の交換をしています。
共生微生物は、植物の組織中や表面に生息して、栄養分等の必要なものを互いに供給し合って共存しています。この関係は、病原菌のように植物に害になることはなく、逆に、植物が自分では得にくい栄養分をもらうことにより生育が促進されたり、微生物が動物や害虫に対する毒素を合成して植物を守るなど、多くのメリットがあります。
植物体内に共生している微生物はエンドファイトと呼ばれています。エンドファイトはさまざまな植物から見つかっており、植物の生育向上効果(窒素固定能)や、耐病性や耐虫性の増強効果(毒素の生産等)といった多彩な効果を植物に付与していることが知られています。一部のエンドファイトは毒素を生産して、共生している植物が虫や動物に食べられるのを防ぎます。この毒素は、家畜やヒトにも中毒を引き起こすことがあります。
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