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6 章 微生物の生活環と有用微生物
3.難培養微生物、極限環境微生物
【解説】
●難培養微生物
難培養微生物とは、文字通り「培養するのが難しい微生物」であり、地球上に存在する99%以上の微生物種がこれに該当します。培養が困難なために、これらの菌学的な研究は遅れています。しかし、大多数を占める難培養微生物には、地球環境の維持に重要なものや、わたしたちの生活に役立つものが多く含まれています。そこで、新しい培養法の開発や、培養できなくてもその性質を調べる方法(PCR法やキノンなどのバイオマーカー利用など)の開発などが積極的に進められています。
●極限環境微生物
普通の生物が成育できないような過酷な環境(超高温、超低温、強酸性、強アルカリ性、高食塩濃度、高有機溶媒濃度、超高圧など)の下で、成育できる微生物を極限環境微生物といいます。これらは、極限環境で成育するために適した特殊な能力を備えています。この能力をわたしたちの生活に役立たせるための研究が、さかんに行われています。たとえば、洗濯用洗剤に入っている汚れを効率良く分解する酵素は、アルカリ性環境が好きな極限環境微生物から発見され利用されたものです。
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