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4章 核酸

10.核酸と農芸化学
【解説】
 核酸には、遺伝情報を担う情報高分子としての側面と、ヌクレオチドを構成単位とする高分子化学物質としての側面があります。遺伝子工学による成長ホルモンなどの大量生産、病因遺伝子に即した医薬品を創るゲノム創薬、遺伝子治療、組換え植物育種など、情報高分子としての核酸を利用する研究が行われています。
 一方、ヌクレオチドなどの低分子核酸系物質についても、生理活性探索および機能探索の結果、有用と見出された物質の生産研究も進んでいます。抗生物質、抗エイズ薬など低分子医薬品の生産、核酸系調味料・栄養補助食品などの食品生産、飼料添加物生産などです。この場合でも常に、生産効率化に有用な遺伝子を取得して、より優れた生産プロセスの開発研究が行われています。一方で、遺伝子利用に携わる限り、倫理的な問題が必ず伴います。常に安全・安心に関するコンセンサスの形成が必須なのです。

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