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9章 遺伝子組換え

4.多数のDNA断片からの選択
【解説】
 実際のクローニングでは、多数の無関係なDNA分子やベクターDNAが混在しているので、目的の遺伝子を持った組換え体をどのようにして見つけ出すか問題です。

(1)ゲノムDNAを制限酵素で切断して生じた多数のDNA断片。cDNA断片やPCRで作製したDNA断片であれば、末端を制限酵素で切った形にしておく。
(2)環状2重鎖のプラスミドベクターを制限酵素で1ヵ所切断して、線状とする。
(3)(1)と(2)を混ぜてDNAリガーゼでつなぐと、色々なつながり方をする。図では直線で書いているが、実際の分子は不規則に揺らいでいる。
(4)その中には、プラスミドの一方の端で供与体DNAの一方の端とつながり、他方の端同士もうまくつながったものもある[(5)]
(5)環状2重鎖になった分子。
(6)環状2重鎖となったプラスミドは、形質転換で大腸菌細胞の中に入って安定に複製しやすい。
(7)大腸菌をある条件にすると、千匹に1匹程度の頻度でDNAを取り込みやすくなる。そういう細胞にDNAが取り込まれる。

 ベクターには薬剤耐性遺伝子が乗っているので、プラスミドの入った細胞だけが薬剤に耐性となり、抗生物質を含んだ寒天培地上にコロニーを形成します。しかしそのほとんどは、[求めるものでない供与体DNAを含んだ組換えDNA分子(a)、あるいは供与体DNAを含まずにベクターDNAが環状に戻った分子(b)]の入った細胞のコロニーであり、わずかに存在するはずの、目的の供与体DNA断片を含んだプラスミド(c)を取り込んだ細胞からなるコロニーを、いろいろな方法を使って見つけ出さなければなりません。

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