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9章 遺伝子組換え

2.どういうDNAをクローニングするか?
【解説】
 原核生物ではそれぞれの遺伝子がDNAの上にまとまって存在するので、細胞からDNAを取り出してそのまま遺伝子クローニングを試みることができます。
 動物や植物などの真核生物では一般に、遺伝子がゲノムDNAの上で多数のイントロンによって分断されています。遺伝子発現の際には、RNAに転写された後、イントロン部分が切り捨てられエキソン部分がつなぎ合わされて(スプライシング)、mRNAとなり、これが核から細胞質に運ばれて、タンパク質合成の際の遺伝暗号となります。従って、細胞から取り出したDNAをそのままクローニングすると、もとの遺伝子情報は保たれますが、大腸菌ではスプライシングが起こらないために、タンパク質を作れません(ゲノムDNAクローニング)。
 mRNAをもとに逆転写酵素で相補的なDNAを作り、2本鎖DNAにまでしてこれをクローニングすると、大腸菌でもそのタンパク質を作らせることが可能です(cDNAクローニング)。またタンパク質のアミノ酸配列がわかっていれば、それをコードしていたmRNAの配列をある程度推定でき、その情報をもとにPCRのプライマー(種)をデザインし、ゲノムDNAやcDNAを鋳型にして注目するDNA部分を増幅させてそれをクローニングする方法も使われます。もちろん、 DNAをぜんぶ化学合成してクローニングすることも可能です。

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