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5章 物質の代謝

3.エネルギーの獲得
【解説】
 解糖系、クエン酸回路で生成したNADH とFADH2は、電子伝達系を介してATP の酸化的リン酸化の生成、すなわちエネルギーへと変換されます。電子伝達系は、ミトコンドリアの内膜に並んだ脱水素酵素、フラビンタンパク質(FMN)、ユビキノン(UQ)、鉄-硫黄タンパク質(Fe-S)、シトクロム(Cyt)になどのタンパク質によって進行し、電子は、最初の電子供与体、NADHなどから4つの複合体を通って最後の酸素(O2)まで移動します。この際に、1)複合体I(NADH デヒドロゲナーゼ複合体)によってNADH からフラビンタンパク質へ電子が移される際にプロトン(H+)がミトコンドリア膜間へ輸送される、2)複合体III(ユビキノール- シトクロームcオキシドレダクターゼ)を介してUQH2がUQ に酸化される際に生成したプロトンはミトコンドリア膜間に輸送される、そして、3)シトクロムcから複合体IV(シトクロームcオキシダーゼ)を通って酸素に進む電子の流れによりプロトンがミトコンドリア膜間に輸送されます。この3つの反応でミトコンドリア膜間間隙にたまったプロトンがマトリクスへ運び出される時に、ATPシンターゼによって、ADP よりATP が生成すると考えられています。このようにATP を生産する機構を、電子伝達系に共役しておこる酸化的リン酸化と呼びます。
 この反応の結果、1分子のグルコースは、6分子のO2と反応、6分子のH2Oと6分子のCO2を生成し、この過程で38分子のATP を生成、生体はこのATP からエネルギーを獲得することになります。

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