ご参加頂いたみなさま、ありがとうございました。

概要

日時 2008年3月15日(土)午後3時~4時10分まで
場所 三省堂書店神保町本店2階 喫茶「ピッコロ」
テーマ 遺伝子組換え作物を考える~花粉症の緩和対策を例として
講師 高岩文雄 氏
独立行政法人 農業生物資源研究所
遺伝子組換え作物開発センター長
講師略歴 1953年 栃木県生れ
1975年 富山大学文理学部卒業
1980年 北海道大学大学院理学研究科博士課程卒業
1982年 農水省農業技術研究所遺伝科入省
1983年 農水省農業生物資源研究所細胞育種部
1999年  同上 生物工学部遺伝子操作研室長
2003年 独立行政法人 農業生物資源研究所
遺伝子組換え開発センター センター長

主な受賞など:
1998年 日本育種学会賞受賞
2004年 文部科学省 科学技術賞受賞

著書:
『フードデザイン21』や『抗アレルギー食品開発ハンドブック』『遺伝子組換え作物研究』等の分担執筆
コーディネーター 吉川 学氏
毎日新聞科学環境部
共催 農芸化学研究奨励会、日本学術会議農芸化学分科会、三省堂書店
内容 スギ花粉症などのアレルギーの治療においては対処療法が一般的であり、アレルギーを引き起こす原因物質である抗原を2~3年かけて皮下注射で投与し続け、抗原に対する体質を改善する減感作療法以外、根治的な治療法はない。しかしこの治療法においては、副作用の可能性や通院などの手間がかかることからなかなか普及しておらず、簡便かつ安全な治療法の開発が望まれている。

そこで我々は、遺伝子組換えの技術を用いて、米のような毎日食べる食品の中に抗原を蓄積させた遺伝子組換え作物を作出し、食べることで腸管粘膜の免疫細胞に見られる抗原に対して反応性を消失させ、アレルギー症状を緩和させる手法の開発を進めてきた。

しかし、こうした遺伝子組換え作物においては、日常食べる食物に単に外来遺伝子産物を発現させるということのみならず、タブーとされる抗原を蓄積させている点でも、従来の遺伝子組換え食品と一線を隔している。さらに、米という形状が従来の医薬品の定義と異なっており、医薬品として認められるのかという大きな問題も含んでいる。

アレルギー治療に関する医薬品としての遺伝子組換え作物の問題は、感染症の治療における発展途上国でのバナナ等を用いる“食べるワクチン”開発と合い通じる多くの問題を含んでいる。

参加者の方のご意見

  • 興味深いお話をありがとうございました。このようなものの開発が行なわれていることを、開発の当事者の方からお話いただけたこと、質疑応答ができましたことは大変ラッキーだったなぁと思います。三省堂さんには今後も面白い企画を期待しています。
  • 話の中身は専門的な用語が多数出てきて理解するのは難しかったが、テーマはとても興味深いものであった。
  • なるべく学会のような技術的な説明よりは、社会一般生活とのつながり、関係などのテーマを中心に、話が参加者も含めて講師の方とできればいいと思います。
  • 大変良いムードでよかったです。