第7回 農芸化学会 サイエンスカフェ
ご参加頂いたみなさま、ありがとうございました。
概要
日時 | 2007年 9月 1日(土)午後3時より4時10分まで |
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場所 | 京都駅ビル専門店街 The CUBE B1階 京漬物味わい処「西利」 |
テーマ | 微生物による炭素循環と地球環境 |
講師 | 阪井康能(さかいやすよし)氏 |
講師略歴 | 昭和57年 3月 京都大学農学部農芸化学科卒業 昭和63年 3月 京都大学大学院農学研究科博士課程修了(京都大学農学博士) 昭和63年12月 京都大学助手(農学部) 平成 6年 4月 京都大学助教授(農学部農芸化学科) 平成 9年 4月 京都大学大学院助教授(農学研究科応用生命科学専攻) 平成17年10月 京都大学大学院教授(農学研究科応用生命科学専攻) |
コーディネーター | 永田 紅氏 東京大学大学院リサーチフェロー・歌人 |
共催 | 農芸化学研究奨励会、日本学術会議農芸化学分科会、三省堂書店 |
内容 | 石油や石炭に代わる未来型資源として天然ガス・バイオマスが注目を集めています。天然ガスの主成分であるメタン、それを原料として工業生産されるメタノールやホルムアルデヒドはC1化合物と呼ばれています。植物などのバイオマスにもC1化合物を成分とする膨大な量の資源プールが存在し、バイオマスから生産されるメタンは京都市でもバイオガスとして実用化されています。資源としての利用に大きな期待が寄せられているC1化合物ですが、メタンは活性の高い温暖化ガスでその排出削減が強く望まれています。メタンの生物的放出源が、水田や家畜の他、光合成植物からも大量に放出されているという衝撃的な事実が報告され、C1化合物の炭素循環が地球環境や農業生産とますます深く関わっていることがわかってきました。 メタン・メタノールなどのC1化合物を直接利用できる唯一の生物がC1微生物です。C1微生物は、極限環境などの特殊な場所にしかいない微生物ではなく、自然界に広く棲息して、CO2を固定する植物とともに地球環境中のC1化合物の炭素循環を担っています。ではC1微生物はどのようにして自然界にあるC1化合物を食べて生きているのでしょうか?当然、C1微生物の棲息とその棲息環境の変動が、地球温暖化に大きな関わりを持っていることが予想されますが、その実態については何もわかっていませんでした。 最近、C1微生物の代謝や生態について少しずつですが明らかになってきて、このような研究をもとに、私たちはシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドを吸収する植物の創生に成功しました。さらにC1微生物の機能を最大限利用することができれば、地球温暖化対策にも役立てることができるかもしれません。今後、このようなバイオ技術を環境問題にどのように利用していくのか、皆さんと一緒に考え、忌憚のないご意見を伺えればと思います。 |
参加者の方のご意見
- メタンとCO2との関係等、非常に分りやすく理解できました。(微生物の役割についても)
- 本日の内容は相当高度であるが、興味深いものがありました。こういう取っ付きにくいものでも色々テーマにしてもらえれば面白いものになると思います。
- 微生物の“力”に無限性を感じました。折りしも漬物の西利で、というところが面白いです。環境問題に正解はないのではないかとおもいます。ヒントは江戸時代かもしれません。
- 天然ガスについて今まで疑問に思っていたことが解決しました。今回2回目の参加でしたが、農芸化学の話はとても身近に感じて面白いです。これからも身近なテーマについてやっていってもらいたいです。
- 後半、時間不足で走られたのでついていけませんでした。1時間だからもう少し内容を絞った方が良かったとおもいます。質問の時間に色々な質問や答えが聞けて面白いです。
- 先日ちょうど、「環境問題ってCO2を減らせはそれで良い?」と話していた所でした。本日、いろいろな角度から様々な研究をされていることが垣間見れて興味深かったです。ある工学系の学者が、「そのうち人口は現在の三分の一になるだろう」と言っていたことをふと思い出しました。いつか良いバランスを保った地球になれば面白いと思います。ありがとうございました。
- 炭素の大きな循環の一端に触れることができて良かったです。
- バイオサイエンスの現場で今、何か起きているのか?
- サイエンスカフェには初めて来ました。専門家の貴重な話をうかがえて良かったです。
- 図式映像がわかりやすかったです。永田さんのマイクが横からで悪いのか?聞こえにくいです。生ゴミ処理、田舎生活で今なお植物、木の根っこに処理しているが、市の収集回収でのスイカの皮など、考えるとエネルギー消費を少しでもと思う。久しぶり難しく学生時代に返った様でした。私の地方、山間で有機栽培農業を目指して若者が入村してきています。
- 非常に重要重大な地球環境問題だが、このお話を帰って誰かに伝えるには難しかった。いろいろな角度で勉強するのは大切と思います。
- 生活の中で起こっていることで知らないことが多く、興味深く拝聴。この様に生活と密着していることで専門的に聞かせていただけるのは有難い。難しいことも多かったがいろいろ考えながら聞き、面白かった。