報告

2024年9月2日(月)に第42回さんわかセミナーをZoomウェビナーにて実施しました。企業研究者や大学の教員、学生だけでなく、一般の方含めて総勢90名の方にご参加いただきました。4名の講師の先生方には、ご自身の経験を振り返りながら個の幸せを犠牲にしない働き方、挑戦的な研究を行うための工夫、持続可能なキャリアを形成するコツ、兼業により得られたメリットなどをご紹介いただきました。オンライン開催ではありましたが、活発な質疑がありました。

  • 谷口先生からは、女性研究者への道、家庭生活と研究活動のキャリアの両立に関して、社会言語学者としてご活躍されておられるご自身のこれまでのご経験を踏まえたご講演をいただきました。谷口先生の「個の幸せを犠牲にしないキャリア形成」という考え方は、長く研究活動を続けていくうえでも女性研究者に限らず胸に留めておくべき重要な観点であると感じました。先生が挙げられた三大原則(人に頼る、気にしない、競争しない/無理をしない)をはじめ、自らに適した時間帯に論文執筆するなど、現在あるいは将来的な出産・育児などを含めた家庭生活と研究者としてのキャリア形成に関して不安を持ち、悩んでいる方々にとって、今後の人生の様々な面におけるヒントを得られるご講演内容でした。
     
  • 前野先生からは、昆虫学者としての夢の追求と挑戦のご経験を踏まえながら、若手研究者へのメッセージを含めてご講演いただきました。ファーブルに影響を受けた幼少期の夢を叶えるべく、アフリカでの困難や就職難などを経験しながらも、バッタ研究への熱い情熱を失わずに様々な工夫で実現された姿勢がとても印象的でした。また、若手研究者へのメッセージとして、情報や知識が限られた状況で問題解決を行うには、自ら創意工夫する力を養う必要があることもご説明いただきました。前野先生の情熱的な研究姿勢と、困難を乗り越えて夢を実現した経験をユーモアを交えてご講演された内容に、多くの視聴者が興味深く耳を傾けていたようです。
     
  • 宮嵜先生からは、「持続可能」で「無理をしない」働き方を探求するには、自分の人生のビジョンに基づいて価値観を明確にし、キャリアの位置づけを見直し続けることが重要であるとのメッセージがありました。また、国連機関、国内省庁に加え、大学での職務経験の中で、人間万事塞翁が馬の姿勢を持つことによって予期しない変化をも前向きに捉え、柔軟に対応できるような心構えを持つことを大切にしている、今後のキャリアをデザインしている際にも指針の一つにしていくと紹介いただきました。
     
  • 高島先生からは、アジアンフラッシュ体質とCOVID-19感染リスクとの関係性について気づきを得た背景と、そこから怒涛の勢いで佐賀大学医学部にて公益型兼業を開始され、研究成果を出してきたご経験についてお話いただきました。農林水産省審査官としてわかりやすいコミュニケーションを心掛けてきたことが兼業先の疫学研究で活かされていること、逆に兼業先での経験が農林水産分野での新しい着想につながっていることについても、ご紹介いただきました。本業だけではなくもう一つの道をもつことの魅力について、躍動感をもってお話いただき、聴講者の皆様にとっても非常に刺激的なものになったと思います。
     

アンケートでは高評価をいただきました。また、次回以降のセミナーで扱うテーマについても有意義なご意見・ご期待を賜りました。今回、ご多忙中にもかかわらずご講演を快くご承諾いただきました講師の先生方、ならびにご参加いただきました多くの皆様に改めて御礼申し上げます。今後とも、さんわか活動にご協力・ご参加いただけますよう、よろしくお願い申し上げます

さんわか11期 一同

概要

タイトル 「研究者の多様なキャリア」
主催 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか)
ポスター

さんわか第42回セミナー ポスター(PDF)

開催趣旨 グローバル化と価値観の変革が進む現代社会では、働き方の概念が大きく変化しています。仕事とライフイベントの両立、独自の視点からの革新的な成果創出、そして従来は困難とされていたキャリアパスへの挑戦など、これらがすべて現実のものとなっています。 「研究者の多様なキャリア」をテーマに掲げる今回のさんわかセミナーでは、各界で活躍する経験豊富な講演者たちが、キャリア構築の秘訣を多角的に紹介します。普段は聞くことのできない貴重なエピソードや、すぐに実践できるアドバイスが満載です。オンラインで気軽に参加でき、参加費は無料です。農芸化学会会員以外の方も大歓迎です。あなたの研究者としてのキャリアに新たな可能性を見出すチャンスです。ぜひこの機会を逃さず、新たなキャリアの可能性を探ってみませんか?皆様のご参加を心躍らせてお待ちしています。
日時 2024年9月2日(月)13:00~16:10(予定)
開催方法 Zoomウェビナー配信
プログラム 13:00
開会の挨拶

13:05~13:45
「それでも、折れないー家族と拓いた女性研究者への道」
谷口 ジョイ 氏(静岡理工科大学 情報学部 教授)

13:45~14:25
「アフリカでバッタを研究する」 
前野ウルド浩太郎 氏(国際農林水産業研究センター 生産環境・畜産領域 主任研究員)

<休憩>

14:45~15:25
「自身のライフステージと価値観に合わせたサステナブルな働き方の探求」
宮嵜 絢子 氏(東京農工大学 西東京三大学共同サステイナビリティ国際社会実装研究センター 特任助教)

15:25~16:05
「『アジアンフラッシュはコロナに防御的』に気づいた日~それはチョウから始まった~」
高島 賢 氏(農林水産省 消費・安全局農産安全管理課 審査官 /佐賀大学医学部 客員研究員)

16:05
閉会の挨拶

※各講演、発表30分・質疑10分となります。質疑はZoomのQ&A機能を利用して聴講者から記入いただいた内容を運営スタッフが読み上げる形式を予定しております。(変更可能性あり)
要旨集 要旨集(PDF)
※講演要旨集はパスワードを設定しております。ご参加者登録者様には別途メールにてパスワードをご案内いたします。
参加費 無料
定員 200名
参加申込 お申込みは参加申し込みフォームからお願い致します。



※8/28までに申し込みされた方は、8/29にウェビナー参加URLを送付いたします。  
それ以降に申し込みされた方は当日11:00までに送付する予定です。参加URLリンクが送られてこない場合は、下記問い合わせ先までご連絡ください。
※先着順で定員に達し次第、申込受付を締め切らせていただきますので、お早めにお申し込みください。
※お申込みいただいた個人情報は、参加確認および今後のさんわかセミナーご案内以外の目的には使用いたしません。
申込締切 2024年8月30日(金)12:00
問い合わせ先 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか)
sanwaka.jsbba●gmail.com
(「●」を「@」に変換して送信してください)