【2018/01/19(金)開催】第30回さんわかセミナー 「バイオテクノロジーから発想する健康&スポーツの新潮流」
報告
2018年1月19日、京都大学 理学部セミナーハウスにて、「バイオテクノロジーから発想する健康&スポーツの新潮流」と題し、バイオテクノロジーを活用した健康増進や体力向上をテーマに第30回さんわかセミナーを開催いたしました。本分野におきまして第一線でご活躍されている先生方4名をお招きし、健康や運動機能の維持・改善に関する最新の知見や将来への展望についてご講演いただきました。当日は、大学・企業・公的研究機関から約50名の方にご参加いただき、本テーマに対する関心の高さが伺われました。以下、各講演について簡単にご報告いたします。
- 東京農工大 木村郁夫 先生からは、腸内細菌叢が生産する食由来の短鎖脂肪酸がGタンパク質共役型受容体を介して、交感神経系の調節や脂肪蓄積の抑制することにより、宿主エネルギー恒常性の維持や抗肥満作用を示すことをご紹介いただきました。また、腸内細菌叢を介した多糖や脂肪酸代謝産物による宿主への生理機能や機能性食品開発応用について、未発表データを交えながらご紹介いただきました。腸内細菌叢と食由来代謝産物が織りなす多彩なネットワークが私たちの健康の維持に役立っていることが理解できた非常に興味深いご講演でした。
- 同志社大 米井嘉一 先生からは、体組織の老化に関係する糖化のメカニズムに迫った研究に関して、還元糖・脂質・アルコール由来アルデヒドがその主たる原因であることを特定し、抗糖化のためには、実質的に抗アルデヒド化することが重要であるということをご紹介いただきました。500種類以上の植物素材抽出物をヒト血清アルブミンとグルコースを反応させたときに生じるAGEs生成抑制活性の強い成分を選択し、このような抗糖化成分を含有する食品を摂取することで、糖化関連疾患の予防が期待できることをご講演いただきました。
- 立命館大 家光 素行 先生からは、糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病に対する習慣的な運動の効果、さらには、運動の効果をより高める食品(サプリメント)についてご紹介いただきました。運動の種類による効果の違いを具体的に示していただくだけなく、その作用機序として性ステロイドホルモンが大きく関与していること、また、食品(サプリメント)の効果的な併用が重要であることを分かりやすくご説明いただきました。スポーツへの関心が年々高まっている中、専門的知見から運動・食事療法の重要性を学ぶことができ、非常に有益なご講演でした。
- 江崎グリコ 栗木隆 先生には、糖質関連の酵素工学とその利用による新しい事業に取り組んでこられ、健康やスポーツの分野にも貢献されてきた経験を振り返り、技術開発による事業創出からどのようなことを学んだが、今後の課題とともにお話しいただきました。変わり続けることを当たりまえとし、変化し続ける社会に耐えうる研究をし、事業や産業にまでつなげてこれらた経験に基づくメッセージは、どれも研究者として、経営者として第一線を走り続けているからこそのものであり、学生からベテラン研究者まで心に大きく響く講演でした。
各講演の質疑応答や講演後の技術交流会におきましても活発な議論が交わされ、参加されたそれぞれの方々が大変刺激を受けていたご様子で、極めて好評であったと認識しております。本セミナーが皆様の今後の研究活動・業務において一助となれば幸いに存じます。ご多忙中にも関わらずご講演を快くご承諾いただきました4名の講師の先生方、ならびにご参加いただきました多くの皆様に厚く御礼申し上げます。また、本セミナーのアンケートにご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。今後とも、産学官若手交流会さんわかの活動にご協力・ご参加いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
会場風景
概要
タイトル | 第30回さんわかセミナー 「バイオテクノロジーから発想する健康&スポーツの新潮流」 |
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主催 | 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか) |
開催趣旨 | 2020年東京オリンピック開催を控え、人々の健康志向やスポーツへの興味は年々高まっています。近年はインターネットの普及により、健康や運動に関する専門的な情報が比較的容易に入手できるようになり、一般市民の方でも科学的根拠に基づいた健康増進や体力向上を効率よく実施できる時代となってきました。このような現状から、健康の増進や体力を向上させるバイオテクノロジーは現代社会において大きく注目されています。 そこで、第30回さんわかセミナーでは「バイオテクノロジーから発想する健康&スポーツの新潮流」と題しまして、第一線でご活躍されている先生方をお招きして、お話を伺う機会を企画しました。講演終了後には、先生方を囲んで技術交流会も開催します。日本農芸化学会会員ではない方の参加も歓迎いたします。ご興味のある皆様方のご参加をお待ちしております。なお、技術交流会からの参加も受付けております。ぜひ本セミナーを機会に研究の幅、交流の輪を広げてみてはいかがでしょうか。 |
日時 | 2018年1月19日(金) 受付13:00~、セミナー13:30~、技術交流会17:15~ |
会場 | 京都大学 吉田キャンパス北部構内 理学部セミナーハウス |
アクセス | JR京都駅から 市バス 京都駅前 206系統「東山通 祇園・北大路バスターミナル」行(約35分)→百万遍(→今出川通を東に徒歩10分) 市バス 京都駅前 17系統 「河原町通 四条河原町・銀閣寺」行(約35分)→京大農学部前 http://www.sci.kyoto-u.ac.jp/modules/tinycontent9/ |
講演者 | 木村郁夫(東京農工大) 米井嘉一(同志社大) 家光素行(立命館大) 栗木 隆(江崎グリコ) |
プログラム | 13:00- 受付開始 13:30- 開会 13:35- 『 食由来腸内代謝産物と生体エネルギー制御 』 木村郁夫(東京農工大) 14:25- 『 糖化ストレス対策と次世代抗糖化機能性食品 』 米井嘉一(同志社大) 15:15- 休憩 15:25- 『 運動や食品(サプリメント)が生活習慣病予防や体力向上に与える影響 』 家光素行(立命館大) 16:15- 『 The best science or/and the best application 』 栗木 隆(江崎グリコ) 17:05- 閉会 17:15- 技術交流会 |
参加費 | セミナー参加費:無料(当日受付可) 技術交流会参加費:3,000円、学生1,000円(事前申し込み制) |
定員 | 100名 (満席となり次第締め切りとなります。当日残席がある場合のみ入場できます。) |
参加申込 | お申込みは下記のリンクからお願いいたします。技術交流会の参加も事前申込みが必要です。 https://goo.gl/forms/8526zjwhRJThYcfG2 [申込み締切 2018年1月12日(金)] ※上記リンクからお申し込みができない場合、必要事項【お名前、お名前(ひらがな)、ご所属、日本農芸化学会会員種別(正会員、学生会員、非会員)、学年(学生のみ)、ご連絡先(E-mail)、技術交流会(参加、不参加)】をご記入の上、下記問合わせ先にご連絡ください。 ※お申込みいただいた個人情報は、参加確認および今後のさんわかセミナーご案内以外の目的には使用いたしません。 |
問い合わせ先 | 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか) |