【2017/1/23(月)開催】第28回さんわかセミナー「農食事業における現場のニーズから生まれた研究成果とその将来像の紹介」
報告
2017年1月23日、東京大学 農学部 中島董一郎記念ホールにて、第28回さんわかセミナー「農食事業における現場のニーズから生まれた研究成果とその将来像の紹介」を開催いたしました。今回のさんわかセミナーは、農林水産省との共同企画で行われました。農食事業(*)とその事業内で実施された研究課題の中から、農芸化学と関連が深い研究成果についてご講演頂きました。
青山氏からは農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業の紹介して頂きました。シーズ創出ステージ、発展融合ステージ、実用技術開発ステージの3つのステージから成る本事業のポイントや審査体制などご紹介頂きました。また全ステージに共通して「研究ネットワーク」「「知」の集積と活用の場 産学官連携協議会」との連携が大切であるとのご説明を頂きました。
山口先生からは宮崎県の特産物である日向夏の搾汁残渣を用いた骨代謝改善素材の研究開発についてご発表い頂きました。先生は日向夏の搾汁残渣から得られる抽出物に骨密度の低下を抑制する効果があることを見出され、その活性成分やin vitro, in vivoでの作用メカニズム解明の研究を行い、骨粗鬆症に対する予防効果関して解説して頂きました。
佐藤先生からは林産試験場が開発した北海道生まれの、マイタケ「大雪華の舞1号」を低コストで栽培する技術とプレバイオティクス食品としての実証に関してご発表頂きました。大雪華の舞1号の腸内環境改善、抗動脈硬化作用、インフルエンザワクチン効果増強作用など検討され、高付加価値による消費拡大と生産者の経営安定化を目指していると、ご説明頂きました。
下先生からは梅の産地である和歌山県において「南高」を主体とした品種構成の見直しがひとつの課題と考え、スモモとウメをかけ合わせてできた「露茜(つゆあかね)」の開発についてご発表頂きました。露茜のこれまでのウメにはない赤色色素が豊富な特徴を活かした商品開発や、製造メーカーへの安定供給するための追熟および輸送法の開発などに関してご説明頂きました。
川口先生からは豚ふんを肥料原料として循環利用するための技術開発についてご解説頂きました。豚ふんの過剰な発生と日本国内の肥料資源の問題から見えてきたニーズに対して、燃料を用いず豚ふんを炭化し肥料にすることができる省エネ型炭化技術を開発し、豚ふん炭化物を肥料原料として利用する事業モデル構築に関してご発表頂きました。
後藤先生からはオンサイトで1回に9種類の病原体微生物の遺伝子を検出可能な家畜感染症検査システムの開発に関してご発表いただきました。畜産業のニーズ、特にウシの呼吸器感染微生物に関して細やかにマーケティング調査し、強みであるDNAチップや半導体技術を用いた検査システム開発の企画から商品化までを解説していただきました。
農林水産業・食品産業の現場において、どのような技術シーズがあり、どのような応用研究が必要なのか、研究から実用化につながりつつある最新情報をご紹介いただき、幅広い観点で勉強することができました。当日は約40名の方にご参加頂き、講演後の質疑応答では活発な議論が交わされました。参加されたそれぞれの方々が大変刺激を受けていたご様子で、極めて好評であったと認識しております。この場をお借りしまして、本講演のアンケートにご協力いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。
以上、本セミナーが皆様の今後の研究活動・業務において一助となれば幸いに存じます。
また、ご多用の中ご講演を引き受けてくださいました講師の先生方、ならびにご参加いただきました多くの皆様に改めて御礼申し上げます。
農芸化学分野の研究・交流活動が益々発展していくことを祈念しております。今後ともさんわか活動にご協力・ご参加いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
*農食事業とは、
農林水産省は生産現場等の課題の解決、農林水産業・食品産業の成長産業化に貢献するため、「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」を実施しています。この事業を省略して農食事業と呼んでいます。本事業は提案公募による競争的資金で、シーズ創出ステージ、発展融合ステージ、実用技術開発ステージの3つの研究ステージで構成されており、実施した研究課題において優れた成果を創出した場合は、公募を介さずにステージ移行できるシームレスの仕組みを導入しています。 詳しくは、下記リンク先をご参照下さい。
http://www.s.affrc.go.jp/docs/research_fund/2016/fund_2016.htm
(株)カネカ 渡邉 徹
会場風景
概要
タイトル | 「農食事業における現場のニーズから生まれた研究成果とその将来像の紹介」 |
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主催 | 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか) |
後援 | 「知」の集積と活用の場 産学連携協議会 (日本農芸化学会は「知」の集積と活用の場 産学連携協議会の会員です) |
開催趣旨 | 今回のさんわかセミナーは、農林水産省とのコラボ企画です。農食事業(*)で実施された研究課題の中から、農芸化学と関連が深い研究成果についてご講演をいただきます。 研究がなかなか実用化に結びつかないという悩みは多くありませんか?農林水産業・食品産業の現場において、どのような技術シーズがあり、どのような応用研究が必要なのでしょうか。実際に、研究現場から実用化につながりつつある最新の技術・研究についてご紹介いただきます。共同研究のマッチング、あるいは、産学官連携による研究現場事例として皆様のお役に立つものと思います。また、農林水産省の方から、農食事業の制度概要についてもご紹介いただきます。産学官の連携研究に向けて、資金調達や連携者の確保をどのように進めていけば良いのか、アクティブな情報交換の場になればと考えております。 日本農芸化学会会員・非会員に関わらず、参加頂けますので、奮ってお申し込みください。 ※農食事業とは、 農林水産省は生産現場等の課題の解決、農林水産業・食品産業の成長産業化に貢献するため、「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」を実施しています。この事業を省略して農食事業と呼んでいます。本事業は提案公募による競争的資金で、シーズ創出ステージ、発展融合ステージ、実用技術開発ステージの3つの研究ステージで構成されており、実施した研究課題において優れた成果を創出した場合は、公募を介さずにステージ移行できるシームレスの仕組みを導入しています。 詳しくは、 http://www.s.affrc.go.jp/docs/research_fund/2016/fund_2016.htm |
日時 | 2017年1月23日(月)受付13:30~、講演開始14:00~、技術交流会17:00~ |
会場 | 東京大学農学部中島董一郎記念ホール(農学部フードサイエンス棟2階)(〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1 東京大学弥生キャンパス内) |
アクセス | 地下鉄 東京メトロ 東大前駅(南北線) 徒歩5分 東京メトロ 根津駅(千代田線) 徒歩12分 |
プログラム | 13:30- 受付開始 14:00- 開会 14:00- 開会のあいさつ 14:10- 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業の紹介 農林水産省農林水産技術会議事務局研究推進課 青山 沙織 氏 14:30- 医食農連携による日向夏搾汁残渣を用いた骨代謝改善素材、飲料の実用化開発 宮崎大学 山口 昌俊 氏 14:50- マイタケの高機能性プレバイオティクス食品としての実証と低コスト栽培技術の普及 北海道立総合研究機構 佐藤 真由美 氏 15:10- 休憩 15:25- 高機能性ウメ品種「露茜」の需要拡大を目指した安定生産技術並びに加工技術の開発 和歌山県果樹試験場うめ研究所 下 博圭 氏 15:45- 豚ふん中の有用資源を循環利用する事業モデルの構築 日立造船株式会社 川口 裕生 氏 16:05- 普及型オンサイト家畜感染症検査システムの開発 東芝メディカルシステムズ株式会社 後藤 浩朗 氏 16:35- 閉会 17:00- 技術交流会 |
参加費 | セミナー参加費:無料(当日受付可) 技術交流会参加費:4,000円(事前申込制) |
定員 | 80名(先着順・満席となり次第締め切りとなります。当日残席がある場合のみ入場できます。) |
参加申込 | お申込は下記のリンクからお願いいたします。技術交流会の参加も事前申込が必要です。 https://goo.gl/forms/UR14cqUIRzgJ20cL2 ※先着順で定員に達し次第、申込受付を締め切らせていただきますので、お早めにお申し込みください。 ※お申込いただいた個人情報は、参加確認および今後のさんわかセミナーご案内以外の目的には使用いたしません。 |
問い合わせ先 | 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか) |