報告

2013年11月26日(火)、大阪大学中之島センターに於いて、さんわか第19回ワークショップ「農芸化学が生み出したヒット商品開発の舞台裏」を開催いたしました。当日は40名を超える方々にご参加いただき、農芸化学分野の研究が商品化へと結びついた事例として、「メッツコーラ」「ヘルシアコーヒー」「金のつぶ」「塩麹」の4題を取り上げ、各企業の先生方からご講演いただきました。

まず、キリンビバレッジ株式会社の若林英行先生からは、特定保健用食品「キリン メッツコーラ」の開発について、トクホの仕組みや市場動向を分かりやすくお話しいただき、さらにコーラとトクホを掛け合わせるという発想や製品設計についてもご紹介いただきました。

花王株式会社の片岡潔先生からは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸類の健康機能性と、その機能性を十分に引き出す技術、そしてコーヒーとしてのおいしさも追求した研究開発について、健康機能とおいしさの両立をキーワードにご紹介いただきました。

また、株式会社ミツカングループ本社の竹村浩先生からは、納豆菌育種による商品の差別化戦略として「金のつぶ」ブランドの開発をご紹介いただきました。また商品の差別化だけではなく、納豆菌の代謝研究による納豆の品質向上に対する取り組みについてもお話しいただきました。

そして最後に、株式会社樋口松之助商店の山下秀行先生からは、麹(糀)と麹菌の特性、およびその有用性についてご講演いただきました。さらに近年のヒット商品である塩麹について、塩麹を使うことで食品がおいしくなるメカニズムや製品化する上での問題点、さらには塩麹がヒットした要因についてお話しいただきました。

なお、講演をすべて企業の先生にお願いしたのは今回が初めてでしたが、会場では質疑応答時間が足りなくなるほど、農芸化学分野の研究と企業での商品化について熱い議論が交わされました。また聴講者の中には学生も多く、企業における農芸化学分野の研究の役割について具体的なイメージを膨らませることができ、ご自身の進路を考える上で大変貴重な機会となったのではないかと思います。講演会の後、技術交流会も開催されましたが、こちらにもたくさんの方々に参加していただき、盛況のうちに本ワークショップを終えることができました。

講師の先生方にはこの場を借りて厚くお礼を申し上げますとともに、今後も農芸化学分野の研究が息づいた商品が世に送り出されることを、さんわかメンバー一同、心待ちにしております。

文責 サッポロビール(株) 佐藤
 

講演風景

第19回ワークショップ-1

第19回ワークショップ-2

第19回ワークショップ-3

第19回ワークショップ-4

概要

タイトル 「農芸化学が生み出したヒット商品開発の舞台裏」
主催 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか)
開催趣旨 日本農芸化学会 産学官若手交流会(通称さんわか)は「産学官学術交流のさらなる推進」を目的として、2004年度に発足しました。発足からおよそ10年、さまざまな勉強会・シンポジウムなどの開催を通じて、若手研究者の間でも産学官連携への理解と意識は少しずつ向上してきたのではないかと考えております。
今回の勉強会では、実学としての農芸化学において最も重要なアウトプットのひとつともいえる「ヒット商品」をテーマに取り上げました。最近話題のヒット商品は、いかなる着想から生まれ、どんな過程を経て世に出たのでしょうか?また、これらの商品の開発に農芸化学の研究がどんな貢献を果たしたのでしょうか?
新たな付加価値・商品価値を生み出すために産・学・官が取り組むべき課題について皆さんと一緒に学ぶ機会にしたいと考えています。
日時 2013年11月26日(火)
13:00~ 受付、13:30~ シンポジウム、17:00~ 技術交流会
会場 大阪大学中之島センター 3階304講義室
(JR大阪駅よりタクシー約10分、又は阪神電車福島駅より徒歩10分)
プログラム 13:30~13:40
はじめに
農業・食品産業技術総合研究機構 小堀俊郎
(さんわか第6期世話人代表)

13:40~14:25
特定保健用食品「キリンメッツコーラ」の開発について
キリンビバレッジ株式会社 若林英行

14:25~15:10
クロロゲン酸含有コーヒーの開発
花王株式会社 片岡 潔

(休憩)

15:20~16:05
納豆菌育種による「金のつぶ」ブランド納豆の商品開発および品質改善
株式会社ミツカン 竹村 浩

16:05~16:50
麹の利用~塩糀とは?
株式会社 樋口松之助商店 山下秀行

17:00~
技術交流会(大阪大学中之島センター 9階交流サロン)
参加費 シンポジウム参加費:1,000円
技術交流会参加費:一般5,000円、学生1,000円
参加申込 件名を「シンポジウム参加申し込み」とし、
・氏名
・所属
・連絡先メールアドレス
・交流会参加の有無
をE-mailにて、下記のアドレスへご連絡ください。

※申し込み先着順で定員に達し次第、締め切りとさせていただきます。
※お申込みいただいた個人情報は、参加確認および今後のさんわかシンポジウムご案内以外の目的には使用いたしません。
問い合わせ先 大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻 本田孝祐
TEL:06-6879-7438
E-mail