2018年度産学官学術交流フォーラム
報告
2018年3月16日(金)、日本農芸化学会2018年度大会において、2018年度産学官学術交流フォーラムを名城大学・天白キャンパス 共通講義棟北1階N101で開催しました。
第1部では農芸化学研究企画賞の発表会、第2部では企業で活躍する著名な先生方を招きシンポジウムを行いました。全体を通して400名程度と非常に多くの方々にご参加頂きました。フォーラムに参加していただいた皆様に改めて御礼を申し上げます。
[第1部 農芸化学研究企画賞発表会]
まず、産学官学術交流委員会の松山委員長から開会の挨拶、および農芸化学研究企画賞の趣旨について説明をしていただきました。ついで、本年度採択された二つの研究企画賞 (第15回農芸化学研究企画賞) に関して受賞者の先生方に講演していただきました。いずれの、研究もオリジナリティのある素晴らしい研究企画であり、今後の研究の発展が楽しみなものでした。
- 「筋分化を誘導する乳酸菌オリゴDNAの生体内作用の実証」
高谷 智英(信州大学・農学部) - 「セルロースナノファイバー生産のための温泉微生物生態系エンジニアリング」
春田 伸(首都大学東京・理工学研究科)
ついで、第14回農芸化学研究企画賞受賞者による中間報告が行われました。3演題とも着実に研究が進展しており、今後の発展におおきな期待が持てる内容となっていました。
- 「ゲノム編集による果実成熟制御の解明と高品質果実の作出」
伊藤 康博((国研)農業・食品産業技術総合研究機構・食品研究部門) - 「"ホモキラルポリ-γ-グルタミン酸"生合成装置の分子解析と微生物工学利用」
芦内 誠(高知大学・農林海洋科学部) - 「消化汚泥を基質とした水素発酵に関するバイオテクノロジー基盤研究」
藤井 克彦(山口大学・創成科学研究科)
第一部の最後に第13回農芸化学研究企画賞受賞者による最終報告が行われました。まだ、実用化に至ってはおりませんが、特許の取得などの着実に成果が上がっていることが見受けられました。近い将来、これらの企画から産業化がおこる可能性を感じさせる内容でした。
- 「非侵襲的薬剤投与法を可能にする上皮タイトジャンクション可逆的開口剤の開発」
臼井 健郎(筑波大学・生命環境系) - 「食後高血糖改善成分を含む新規食材の活用に関する研究」
仲川 清隆(東北大学・大学院農学研究科) - 「廃棄ゴムの再資源化を目指したゴム処理技術の革新」
笠井 大輔(長岡技術科学大学・工学部)
[第2部シンポジウム「企業トップが語る研究開発の未来予想図」]
第2部では企業の研究のトップクラスの先生方をお招きし、研究開発に対する取り組みなどを語っていただきました。
- 「『過去』から『現在』,そして『未来』へ -富山化学の感染症領域への取組みも含めて-」
まず、富山化学工業株式会社の野村部長にご講演いただきました。日本におけるペニシリン開発の歴史とそこから学ぶべきこと、データ解釈の重要性について話していただき、ついで、富山化学におけるヒット商品の、開発の経緯を振り返りながら、富山化学の研究開発のこだわりについてお話しいただきました。また、最後には若手研究者に向け、研究開発や産学連携について示唆に富んだお話をいただきました。
- 「東洋紡におけるバイオ事業の歴史と産学官連携の取組について」
東洋紡株式会社の曽我部所長には化学メーカーであった東洋紡がバイオ事業に参入したきっかけや、その後、バイオ事業が発展する過程で経験した様々な産学連携の事例に関してご紹介いただきました。また、酵素事業や化粧品事業の製品化における苦労話などは今後の産学連携のあり方を考える上で興味深いお話でした。
- 「トヨタ自動車 バイオ分野の取組みについて」
トヨタ自動車株式会社の畦上主査にはトヨタのアグリバイオ事業の取り組みについて幅広いお話をしていただきました。バイオエタノールなどの話、農業に関する取り組みはまさにトヨタの技術力が生かされた素晴らしいものであると感じました。それとともに、トヨタほどの大会社が謙虚に農業に関わる様々な事業に取り組んでいる姿勢に感銘を受けました。
- 「名古屋発 中堅バイオ企業の生きる道」
本シンポジウムの最後には天野エンザイム株式会社の天野社長に講演していただきました。文系の出身である社長のご講演は、これまでの講演とは視点がことなるものでありましたが、農芸化学で研究をする多くの研究者にとって大変参考になったと思います。特に酵素事業に事業を絞った舵きりや名古屋式経営の考え方は印象深いものでした。
第2部の最後は本シンポジウムの開催に多大な尽力をいただきました、岡山大学の稲垣先生の挨拶にて締め括りとなりました。
[第3部 技術交流会]
技術交流会は、会場を食堂へと移し大会ミキサーと合同で行われました。演者の先生方にもご参加いただき様々な意見交換をさせていただきました。
最後になりましたが、お忙しい中、ご講演を引き受けてくださいましたシンポジストの皆様、発表者の先生方、ならびにご参加いただきました多くの皆様に改めて御礼申し上げます。
本フォーラムが、農芸化学分野における産学連携の発展の一助となることを願っております。
8期さんわか代表 東京大学 勝山 陽平
概要
2018年度産学官学術交流フォーラムを下記の要領で開催いたします。
第1部は農芸化学研究企画賞発表会を開催いたします。第15回受賞者の研究企画発表、第14回受賞者の中間報告、第13回受賞者の最終報告を行います。
第2部はシンポジウムを開催いたします。本年度は「企業トップが語る研究開発の未来予想図」と題し、農芸化学に近い分野で大活躍されている企業の研究トップから次世代へのビジョンを語っていただきます。
第3部は本大会ミキサーとの合同で技術交流会を開催します。
奮ってご参加いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
※第1部、第2部は参加無料、第3部(技術交流会)は日本農芸化学会2018年度大会への参加登録が必要です。
日時 | 2018年3月16日(金)13:50~ (日本農芸化学会2018年度大会2日目) |
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会場 | 名城大学・天白キャンパス 共通講義棟北1階N101(第1部・第2部)、地下1階 名城食堂(第3部) |
主催 | 日本農芸化学会「産学官学術交流委員会」 |
企画 | 日本農芸化学会「産学官若手交流会(さんわか)」 |
参加費 | 無料(当日受付可) |
ポスター | 2018年度産学官学術交流フォーラム(PDF) |
プログラム | 13:20- 受付開始 第1部 農芸化学研究企画賞発表会 13:50~14:50 (会場:共通講義棟北1階N101)
第15回農芸化学研究企画賞受賞者による研究企画発表会
第14回農芸化学研究企画賞受賞者による中間報告会
第13回農芸化学研究企画賞受賞者による最終報告会
ポスターディスカッション&休憩
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第2部 シンポジウム「企業トップが語る研究開発の未来予想図」 15:20~18:15 企業のトップクラスは何を考えて、どういう研究開発マネジメントをしているのか?成功のきっかけは何だったのか。農芸化学に近い分野で、大活躍されている企業のトップから次世代の研究開発ビジョンを語っていただきます。
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第3部 技術交流会 18:30~ (会場:共通講義棟北地下1階 名城食堂) ※日本農芸化学会2018年度大会ミキサーとの合同開催となります。 (大会参加登録が必要です) |
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問い合わせ先 | 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか) |
※詳細は決定次第順次更新していきます