第7回 被災地理科教育支援 出前授業
概要
日時 | 2012年12月17日(月) |
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学校 | 福島県立小高商業高等学校(原町高等学校内仮設校舎) |
対象 | 情報処理科 2年生 24名(男子6名、女子18名) |
テーマ | 「ヒトの暮らしと微生物-私たちの生活を支えてくれる小さな巨人-」 |
講師 | 米山 裕 氏(東北大学大学院農学研究科 准教授) |
内容 | 地球上に生命(細菌型の単細胞)が四十数億年前に誕生してから生物が進化して現在の多様性のある生物界が形成されたこと。そして、すべての生物(細菌、植物、動物)は同じ原理に従って豊かな生命現象を発現しており、この基本となる遺伝情報の発現の基本(分子生物学のセントラルドグマ)について紹介。目に見えない微生物(細菌)が我々ヒトの生活に深く関与していること。最後にこれらの微生物(細菌)の能力を利用することによって豊かなヒトの生活がなりたっていること。 などのお話。 |
概略 |
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報告 | 講義では、目に見えない微生物が人々の生活のさまざまな局面に関わっていることを身近な実例を挙げ紹介した。また、全員ではないにしろ、講義の全体像をつかんでくれた生徒さんもいたようである。講義のみの授業では情報処理科の生徒さんたちに興味をもってもらえないことも懸念されたため、前回二華高校の出前受業で評判のよかった緑色蛍光タンパク質を発現する大腸菌でキャラクターを描いた平板を持参しブラックライトで実際に緑色蛍光タンパク質が発色する様子を観察してもらった。その他、各種細菌のコロニー形状、抗生物質耐性菌と感受性菌の各種抗生物質による生育阻止円を観察するための平板を持参し実物を比較観察してもらった。これらの中で生徒たちに最も評判がよかったのは緑色蛍光タンパク質を発現する大腸菌の平板であった。 授業の合間に小高商業高校の校長先生に教育現場の状況をお聞きしたところ、小高商業高校は現在サテライト校として福島県立原町高等学校の敷地内の仮設校舎で教育活動を行っているが、この原町高校も震災直後他校にサテライト校として避難し教育活動をしていたとのことであった。小高商業高校は当初数カ所の高校へサテライト校として分散していたが、現在はこの原町高校一カ所で教育活動を行っているそうである。地元の高校に戻ってきた生徒たちは半分くらいで転校を余儀なくされた高校生が多くいることを聞き、被災地の教育支援は息の長い活動が必要であることを感じた。 |
出前授業を受けた生徒さんたちの率直な感想
- こういう内容は以前から興味を持っていたし、自分でも調べたりしていたので、とてもいい講義だと思いました。光る菌をつかった実験やプロジェクターの内容などとてもよかったです
- 内容は難しかったけれど見本などあったり画像を使ったりしていたので楽しい講義でした。わかりやすい説明だったので良かったです
- DNAを組みかえて生物を色々な色にしていたり、植物を光らせたりすることができ、すごいと思いました
- 講義の内容は難しかったが、とても分かりやすく教えて下さったので少しは理解することができた
- 生物は好きなので微生物についていろいろ学べて良かったです
- キャラクターを使っていたのはとても分かりやすく、実物をみることができたのは楽しかったです。講義の内容はやはり専門的なことが多かったので,難しかったです。でも、身近にあるものについてだったので興味はわきました
- 微生物の形がいろいろあって面白かった。遺伝子組み換えは怖いけど、これから役立つものなら仕方がないと思った
- 最初の方は私でも分かったけれど、後のほうからだんだん難しくなってきて、理解するのが大変でした。でも、寒天の微生物を見て、ドラエもんとかが書いてあって面白かったです
- 微生物の人形が可愛かった
- 微生物にはたくさんの種類がいて、私たちの生活にいろんな形で影響していることが分かりました。実際に授業を受けることができて、とても貴重な体験をすることができました
- 実際に物を見せて説明してくれて良かった。微生物にも色々な種類がいて関心を持った
- 生物は面白いから集中して授業を受けることができた。内容はやはり、大学院の教授だけあって難しかったが、教え方はとても上手で分かりやすかった
- 微生物は色んなところにたくさんいて、役に立つものや病気を起こす微生物などがいることが分かりました。自分の体にも数え切れないほどの微生物がいること を知ってとても驚きました。微生物について色々な種類や形があることを知ることができたので講義を聞いて良かったと思っています
授業風景
報道記事
- 福島民友12面 2012年12月19日