団体名 (東京都)東京都立農芸高等学校
開催日 2021年12月23日(木)
場所 東京都立農芸高等学校(東京都杉並区今川3-25-1)
授業の名称 「味の不思議-その謎を解く」
講師 阿部 啓子 氏(東京大学大学院 農学生命科学研究科応用生命化学専攻 特任教授)
聴講者 東京都立農芸高等学校食品科学科1年生 66名
報告

前半は味覚とはどのようなものか、基本五味について、味は生後1ヵ月の赤ちゃんでも分かること、すべての動物は味を感じること、ヒトよりもナマズの方が味蕾の数が多いこと、味蕾ではどのように味を受容しているのか等についてご説明頂きました。
その後、代表生徒3名がミラクルフルーツを食べる前後でレモンを試食し、味がどのように感じられたかを実際に体験して感想を述べました。今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、代表者以外の生徒はフリーズドライのミラクルフルーツをお土産に頂き、家庭で体験することとなりました。ミラクルフルーツに含まれるミラクリンが味を変える仕組みについて学び、ミラクリンの味を感じるのは人に近いチンパンジーのみで、ニホンザルでは分からないことや、ミラクルフルーツを食べても効果が感じられない人がいることなどを教えて頂きました。他にも、ブロッコリーの苦みを感じない地域の人と感じる地域の人がおり、その原因についてもご説明頂きました。
最後に、農芸化学について、鈴木梅太郎博士のビタミンの発見や、池田菊苗博士のグルタミン酸ナトリウムの発見、特定機能性食品、機能性表示食品等について分かりやすくご説明いただきました。
本校の食品科学科1年生は、これから食品について学び、3年次には1人1テーマで課題研究を行います。今回の授業は、生徒たちの今後の学びに大きく影響を与えて下さったと思います。

授業風景

写真
写真

生徒さんの感想

  • 本日の講演を聞いて、今まで多くのことを知ることができました。特に、味蕾についての話は、知らないことだらけで、とても面白く、興味深かったです。まだ、専門的な知識が少なく、難しくて理解できない話もありました。しかし、十分な知識を得た状態で同じ話を聞いたとき、見えてくるものや、自分が得られるものが、また変わってくるのではないかと思いました。だから、知らないことを調べたり、身につけたりして、もっとたくさんのことを理解していけるようになりたいと思いました。
  • 味覚は誰にでもあるもので、味は毎日の食事で感じているにもかかわらず、まだ詳しく分かっていないことも多いと知りました。私は、味というと味付けのことしか考えていませんでしたが、人の好みや動物の生命にかかわる味覚についても考えて、学習や実習をしていきたいです。
  • 毎日食べ物を食べていて、味覚について深く考えたことがなかったが、味覚にはたくさんの仕組みがあり、体の働きをも調節する大事な役割があるということを知りました。ミラクルフルーツの実験では、味を感じる仕組み、味を変える仕組みについて学ぶことができました。味覚について分かったからこそ、普段の食生活を見直し、生活を豊かにしたいと思いました。