第11回 男女共同参画学協会連絡会シンポジウム
「多様性尊重社会を目指して」−第3回大規模アンケート結果報告より−

上記のシンポジウムが、2013年10月7日(月)(9:30~17:30)東洋大学白山キャンパスにおいて、主催:男女共同参画学協会連絡会、共催:東洋大学共催、さらに内閣府男女共同参画局・文部科学省・厚生労働省・経済産業省・日本学術会議・科学技術振興機構の後援において開催された。

男女共同参画協会ではこれまでに2度に渡り大規模アンケートを行ってきており、昨年2012年には、政府に対して「男女共同参画の加速の重要性、科学・技術分野においていのちある人間を起点とする視座で持続可能な未来に向けたイノベーションの創出を推進すること、および第4期科学技術基本計画・第3次男女共同参画基本計画の方針を踏まえて優れた人材の発掘・育成・登用を加速するための環境整備を推進すること」を要望した。その活動の上に、昨年暮れに第3次の大規模アンケートを行い、その結果の報告が今回のシンポジウムの主題であった。

午前中のプログラムとして、2つの分科会が開かれた。

  • 分科会A「女性研究者のポテンシャルを最大限に:問題点と国際比較!」
  • 分科会B「あなたが光るために~提言・要望のもたらすもの~」

昼休みにはポスターセッションがあり、合計31の学会(分子生物学会、日本蛋白質科学会、日本生物物理学会、日本生態学会など)および大学(東洋大学、筑波大学、東京海洋大学など)における男女共同参画に関する活動・アンケート調査などが報告された。

午後は (1)全体会議I (2)名取はにわ氏の特別講演「ダイバーシティーの実現に向けて~女性がトップで社会が変わる?~」 (3)第3回大規模アンケート結果報告 (4)ポスターセッション (5)全体会議IIパネル討論「多様性尊重社会を目指して」 (6)各種報告 分科会報告および活動報告 が行われた。

筆者は午前中のみの参加であったため、分科会A「女性研究者のポテンシャルを最大限に:問題点と国際比較!」について若干の内容を報告する。2人の演者が欧米諸国および東アジアの女性研究者リーダー育成状況の現状やその支援体制について紹介し、その後2人の演者から「日本分子生物学会」および「日本遺伝学会」における機会均等に関する調査報告とその意義についての報告があった。次にDual career問題の重要性についての取り組みと提案が紹介され、最後に演者5人によるパネルディスカッションが行われた。フロアからも活発な質問や意見が寄せられた。また女性のみならず男性の参加者も1~2割程度見受けられた。

配布された資料集には日本農芸化学会を含む45の学会の活動報告が掲載されている。その中でも「日本分子生物学会」「日本遺伝学会」などの複数の学会において、学会員に対する属性調査と経年調査が多年に渡って粘り強く継続されていた。また、日本農芸化学会と同様に日本遺伝学会においても、学生会員における女性の比率27%が一般会員では19%に減っていた。大規模アンケートの結果からは、女性研究者の配偶者の約6割は大学教員・研究者であり、若い研究者カップルが同居しながらパーマネントポジションを獲得することが困難な実態も明らかになっており、それに対する岩手大学などの取り組みも紹介された。

筆者は初めての参加で基礎知識も不足しているが、「世の中の動きが男女共同参画だから」ではなく、学会として科学の発展にプラスになり、かつ学会員の減少の歯止めにもなる「男女共同参画の必要性」を強く感じた次第である。

明治大学 農学部農芸化学科
佐々木泰子