第18回勉強会・市民フォーラム『身近な生活にいきる農芸化学』
報告
2012年11月17日に埼玉県立川越女子高等学校にて、市民フォーラム『身近な生活にいきる農芸化学』を開催いたしました。
高校での市民フォーラム開催は今年で3回目となりますが、今回の川越女子高等学校では、午前中に実験を中心とした出前授業、午後は講演会というように2部構成で開催いたしました。
午前中の第1部は、協和発酵キリン 研究本部 東京リサーチパークのスタッフの方々に、『体を守る、体のしくみ ~免疫~』というテーマで出前授業を実施していただきました。この授業には川越女子高等学校および川越高等学校の生徒さん25名が参加し、免疫の仕組みに関する講義、免疫細胞の顕微鏡観察や抗原抗体反応に関する実験を行ないました。授業終了後には、「免疫についてもっと勉強したい」、「講義だけでなく実験が出来て楽しかった」などの感想を多くの生徒さん達から聞くことができ、充実した時間を過ごして頂けたようでした。
午後の第2部は、約50名の方を対象に、農芸化学の様々な分野でご活躍されている4名の先生方にご講演頂きました。
山形洋平先生(東京農工大学)には、微生物の発見や発酵食品の歴史、微生物工学の先端的な研究まで、人間は微生物が作り出す酵素に多くの恩恵を受けているというお話をして頂きました。どのお話も初めて聞く内容ばかりでしたが、麹菌が日本の国菌であるという話題が特に印象的だったようです。
中野了輔先生(協和発酵キリン)には、午前中の免疫の授業と繋がる形で、抗体医薬品と従来の医薬品は何が違うのか、抗体医薬品はどうやって作るのか、といった内容でお話頂きました。抗体医薬品の開発は複雑で難しい内容ではありますが、非常に分かりやすいご講演で医薬品研究の面白さが伝わったのではないかと思います。
畝山寿之先生(味の素)には、うまみ成分を中心とした味覚サイエンス研究の最先端をお話頂きました。世界で和食がなぜ注目されているのか?や健康長寿社会はどうやって作っていくのか?など、最先端の味覚サイエンスが社会と繋がっているという興味深いお話を聞くことが出来ました。
宮道慎二先生(製品評価基盤機構)には、放線菌から抗生物質を探索する実験法について映像を交えながらご説明いただき、微生物実験の面白さを伝えて頂きました。先生のご講演には、発見することの素晴らしさ、研究者になることの魅力が凝縮されており、このお話をきっかけに微生物の研究者を目指す生徒さんがいるかもしれません。
また、展示スペースにおいて、宮道先生ご提供の微生物写真パネルの展示、さんわかメンバー所属の大学や企業の展示やパンフレット配布などを行ない、休憩時間中に参加者の皆様にご来場頂きました。
今回の食品や医薬品に関わる様々なお話の中で、『身近な生活にいきる農芸化学』を感じて頂けたのではないかと思います。生徒さん達には、これからもサイエンスにまつわる多くの話を聞いて、自分の興味ある1分野に出会い、将来につなげて頂くことを願っています。
最後になりますが、出前授業を担当してくださった協和発酵キリンの皆さん、ご講演いただいた4名の先生方、会場の準備をしてくださった川越女子高等学校の矢野先生をはじめとした先生方に、この場を借りて御礼申し上げます。
概要
主催 | 日本農芸化学会 産学官若手交流会 (通称:さんわか) |
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共催 | 埼玉県立川越女子高等学校SSH |
日時 | 2012年11月17日(土) 第1部 11:00~12:30 第2部 13:15~16:00 |
会場 | 埼玉県立川越女子高等学校 |
プログラム | 告知ポスター(PDF)
【第1部 出前授業】 11:00-12:30(10:45受付開始) テーマ:『体を守る、体のしくみ ~免疫~』 【第2部 講演会】 13:15-16:00(12:45 受付開始) 講演内容(発表順) 2. 「新しい薬のかたち ~抗体医薬品とは~」 3. 「味覚の科学 ~和食のサイエンスを世界に広める~」 4. 「10minボックス『クスリをつくる微生物』で伝えたいこと」 ※ポスター展示(主催者の大学、公的機関、企業の紹介)も行います。 |
問い合わせ先 | 産学官若手交流会 |