報告

去る2013年3月26日に日本農芸化学会2013年大会にて産学官学術交流委員会フォーラムを産学官学術交流委員会と合同で開催しました。

第1部では、「第8回農芸化学研究企画賞受賞者最終報告会」として3名の先生にご講演を行っていただきました。いずれも大変興味深いご講演で、会場からも多くの質問を頂きました。

続く第2部では、「機能性食品の最前線:研究の現場から製品へ、そして様々な分野への拡がり」と題したシンポジウムを開催しました。前半では、愛知学院大学心身科学部長・教授 大澤俊彦先生に「学」からの、また株式会社ユーグレナ研究開発部部長・取締役 鈴木健吾先生に「産」からのそれぞれの視点から機能品食品実用化への取り組みについてご講演を行っていただきました。2名の先生の熱い講演に触発され、会場全体が興奮で熱気に包まれました。特に機能性食品のあり方に関する話題は、今後機能性食品の製品化を目指す方のみならず、農芸化学に携わるあらゆる研究者にとって非常に興味深いものでありました。続くパネルディスカッションには、ご講演いただいたお二人の先生方に加え、産学官学術交流委員会委員長の松田譲先生、東京農工大学の千葉一裕先生にもパネリストとしてご参加いただきました。そして、産学官学術交流委員会担当理事の穴澤秀治先生の司会のもと、「トップランナーと語る,農芸化学の未来予想図」をテーマとして、会場も巻き込んだ熱い議論が行われ、これから起業を志す研究者に向けたエールをも含む、密度の濃い討論会となりました。

第3部は、第9回農芸化学研究企画賞受賞者中間報告会3題について5分間のプレゼンテーションおよび第10回農芸化学研究企画賞受賞者の3題について3分間のショートプレゼンテーションを行っていただきました。それに続く第4部は、14題のポスターショートプレゼンテーションを開催しました。各演者には順番に、内容について約3分を目安にプレゼンテーションを行っていただきました。

そして第5部は会場を川内の杜ダイニングに場所を移し、ミキサーとの共催の形でポスターディスカッション及び技術交流会を行いました。今回のポスターディスカッションは、「産・学・官の絆」をコンセプトとして開催しました。復興関連の話題も多く含まれており、震災からの復興を目指して農芸化学が今後どう貢献していくかについて改めて考える機会になりました。また、今後の産学官の連携のあり方についても考える良い機会になったと思います。

今回のフォーラムは、多くの方にご参加いただいたおかげで、大盛況となりました。本フォーラムを開催するにあたり、様々な形でご支援頂いた方々に改めて御礼申し上げます。ただ、パネルディスカッションで機能性食品に否定的なパネリストがいたほうがよかった、ショートプレゼンテーションとポスターディスカッションの会場が別の場所だったので少しわかりにくかった、ショートプレゼンテーションはもう少し十分な時間をとって欲しかった、といったご意見も頂きました。これらを反省点として今後改善していきたいと思います。

また2014年度大会でもフォーラムを開催しますのでぜひ皆様ご参加ください。

※要旨集が必要な方は、さんわかトップページのE-Mail(こちら)にご連絡いただければ対応いたします。

フォーラム当日の様子

さんわか勉強会15-1
松田譲委員長の開会の挨拶

さんわか勉強会15-1
大澤俊彦先生のご講演

さんわか勉強会15-1
鈴木健吾先生のご講演

さんわか勉強会15-1
パネルディスカッション

さんわか勉強会15-1
ポスターディスカッション

さんわか勉強会15-1
さんわか5期メンバー記念撮影

主催 日本農芸化学会「産学官学術交流委員会」、「産学官若手交流委員会(通称:さんわか)」
日時 2013年3月26日(火)13時30分 開始
会場 東北大学マルチメディア棟および川内の杜ダイニング
プログラム ※詳細はこちら(PDF) をご覧ください。

第1部(13:30~14:30)東北大学マルチメディア棟
第8回農芸化学研究企画賞受賞者最終報告会
  • 「根圏作用を高度利用した次世代型環境浄化技術の開発」
    森川 正章 氏(北海道大学・大学院地球環境科学研究院生物圏科学専攻)
  • 「フェアリーリング惹起物質からの植物成長促進剤の開発」
    河岸 洋和 氏(静岡大学・創造科学技術大学院バイオサイエンス専攻)
  • 「インジゴ還元酵素の機能解析による酵素建て染色法の開発」
    大島 敏久 氏(九州大学・大学院農学研究院生命機能科学部門)

第2部(14:40~16:40)東北大学マルチメディア棟
シンポジウム「機能性食品の最前線:研究の現場から製品へ,そして様々な分野への拡がり」
  • 講演:「トップランナーが語る機能性食品の最前線」
    (1) 大澤 俊彦 氏(愛知学院大学・心身科学部長・教授)
    (2) 鈴木 健吾 氏(株式会社ユーグレナ・研究開発部部長・取締役)
  • パネルディスカッション:「トップランナーと語る,農芸化学の未来予想図」
    【司会】穴澤 秀治 氏(産学官学術交流委員会理事)
    【パネリスト】大澤 俊彦 氏、鈴木 健吾 氏、松田 譲 氏(産学官学術交流委員会委員長)、千葉 一裕 氏(東京農工大学)

第3部(16:50~17:15)東北大学マルチメディア棟
16:50-17:05 第9回農芸化学研究企画賞受賞者中間報告会
  • 「mRNA成熟阻害活性を指標とする抗ガン化合物の探索と産業利用」
    増田 誠司 氏(京都大学・大学院生命科学研究科)
  • 「ソバを原料とする降圧食品の開発と降圧メカニズムの解明」
    中村 浩蔵 氏(信州大学・農学部)
  • 「セルロソーム生産菌ゲノム情報を活用したCBP型バイオ燃料生産微生物の創製」
    田丸 浩 氏(三重大学・大学院生物資源学研究科)
17:05-17:15 第10回農芸化学研究企画賞受賞者紹介
  • 「高機能食品成分を用いた脳老化の予防と改善に関する研究」
    久恒 辰博 氏(東京大学・大学院新領域創成科学研究科)
  • 「メタン発酵プロセスに用いる好熱性細菌の探索と応用」
    中島 琢自 氏(北里大学・感染制御研究機構)
  • 「ヘスペリジンの機能性に注目したかんきつ類の高度利用と地域活性化」
    田丸 靜香 氏(長崎県立大学・看護栄養学部)

第4部(17:15~18:00)東北大学マルチメディア棟
ポスターショートプレゼンテーション(産・学・官の絆)
※今年度は、「産・学・官の絆」をタイトルとして、復興支援を中心とした産学官連携研究14例を紹介します。研究シーズの発掘から実用化に向けた開発含めて、研究の着眼点やストラテジーなどについて、幅広い研究者、特に若手研究者が自由に意見交換できる場を設けたいと考えています。第5部からは、ミキサーと合同開催となり飲料を手にしながらの交流会形式となっております。皆さま奮ってご参加ください。


第5部(18:30~20:30)川内の杜ダイニング
ポスターディスカッション(産・学・官の絆)&技術交流会(ミキサーと共催)