日本農芸化学会2014年度大会(実行委員長 正木春彦 東京大学大学院農学生命科学研究科教授)は、2014年3月27(木)から30(日)までの4日間、京王プラザホテルおよび明治大学生田キャンパスを会場として開催された。明治大学生田キャンパスは、東京からは多摩川を渡った神奈川県川崎市の丘陵地にある緑豊かなキャンパスで、農学部と理工学部を有する。明治大学で日本農芸化学会大会を開催するのは初めてのことであったが、明治大学を挙げた協力体制のもと両学部のほぼすべての教室ならびに設備を使わせていただけることとなり、一般講演をはじめとするすべての行事を開催することができた。明治大学には、厚く御礼を申し上げる。

本大会では、昨年度の大会から導入した参加登録のWEB受付を完全に実施するとともに、参加費の払い込みもクレジットカード決済あるいはコンビニ決済を第一の方法としていただいた。参加者の方には初めてのことで多大なご面倒をおかけすることになったが、参加登録総数4500人ほどのうち参加費を当日現金払いした方は500人弱と、予想以上に高いクレジットカード決済、コンビニ決済の割合であったことに、御礼を申し上る。

大会初日は、10時30分より京王プラザホテル南館エミネンスホールにて2014年度学会賞授賞式ならびに特別表彰が行われた。今年度から技術賞は4件まで授与されることになった。また、特別表彰はイグ・ノーベル賞を受賞した熊谷英彦先生ならびに今井真介氏らへ行われたものである。これに引き続いて、学会賞(2件)、功績賞(2件)、技術賞(4件)、奨励賞(10件)の各受賞者による講演が行われた。収容人員650名の講演会場は満席となり、立ち見となった方にはお詫びを申し上げる。その後18時より京王プラザホテル本館コンコードボールルームにて懇親会が開催された。開会にあたっては鏡割りが行われた。この日本酒、ならびにワイン、ビールをご寄贈くださった関係各社に厚く御礼を申し上げる。今回は、東京都、千葉県、神奈川県の日本酒を集めたコーナーを設けた。会場は、650人ほどの参加者の熱気に満ちていた。

写真
授賞式の様子

写真
懇親会での鏡割り

大会二日目からは、明治大学生田キャンパスにて、一般講演(1986題)、シンポジウム(29課題、173題)、ランチョンセミナー(14題)、ならびにJABEEランチョンシンポジウムと男女共同参画ランチョンシンポジウムの口頭発表が行われた。男女共同参画ランチョンシンポジウムは今大会で初めて開催した。一般公演からは、事前審査、座長による口頭発表の確認を経て27演題にトピックス賞が授与された。ランチョンセミナーには専用の教室を準備することができたので一般講演に支障をきたすことなく運営することができたが、最終日に雨となり参加者にご不便をかけたのが残念であった。

写真
生田キャンパス登校路門

写真
一般講演会場

写真
ランチョンセミナー会場

大会三日目には産学官学術交流委員会フォーラムとミキサーが開催された。フォーラムでは第9回、第10回、第11回農芸化学研究企画賞受賞者の最終報告、中間報告、企画発表がそれぞれ行われ、イグ・ノーベル賞受賞者の特別講演も行われた。さらに、ポスターディスカッション(9題)、シンポジウム口頭発表(3題)も行われ、大盛況であった。ミキサーは、看板による告知は行わなかったのだが、今大会で始めたTwitterでの情報発信が奏功したか、盛会であった。

写真
産学官学術交流委員会フォーラム

会期中、展示会が開催された。出展企業(89社)、バイオビジネスアピールエリア(14社)の展示が行われた。昼休み時間を2時間にしたことから展示会場を訪れる人が多く、出展企業からは「展示を見ていただける時間が多くあって良かった」との評価も得た。

休憩室と展示会会場で飲料等を提供したが、これは、12社からご寄附いただいたものである。ご支援に厚く御礼を申し上げる。

写真
展示会会場

大会二日目には高校生の研究発表会「ジュニア農芸化学会」が開催された。全国54の高校から226人の発表者を迎えて54題のポスターが展示された。総数約450人が参加し、高校生の熱心な発表と大会参加者との活発な質疑応答に会場も大いに賑わった。投票の結果、金賞1件、銀賞2件、銅賞3件が選ばれた。今回の大会においても、本学会の被災地理科教育支援事業(「復興応援キリン絆プロジェクト」後援)の支援で、岩手、宮城、福島の被災3県から8校(生徒21人、引率教員8人)をジュニア農芸化学会に招待した。招聘校による8題の発表があり、発表終了後には支援目録の贈呈式も行われた。

写真
ジュニア農芸化学会の受賞者

大会最終日である30日の夕方からは、茨城県守谷市のセミナーホテルにて農芸化学Frontiersシンポジウムが開催された。今回は、農芸化学会員の学生および若手教員ら約90人の参加があった。6名の講師によるシンポジウムでは、これまでの経験談を交えつつ最先端の研究をご講演いただき、活発な討論が行われた。また、参加者相互の交流会が夜遅くまで行われ、大変盛況であった。翌日31日には、エクスカーションとしてアサヒビール守谷工場見学を行った。農芸化学と縁の深い醸造作業から製品化まで、普段目にすることのない工程が実感できる良い機会となった。

写真
Frontiersシンポジウムの参加者

最後に、あらためて大会の電子化について述べる。

今大会で本格的にWEBによる事前登録とクレジットカード決済、コンビニ決済のセットでの実行を参加者に求めた。結果としては、予想をはるかに上回る方々に対応をいただけた。次回の大会でも、当日受付の作業量軽減のために、今回同様に対応していただけることをお願いする次第である。なお、今大会では、大会初日にWEB登録システムに不具合が起き数十人が二重に登録をせざるを得なくなったこと、ならびに大会参加のみの登録者が懇親会に参加するには再度WEB登録を行わなくてはならなかったことは今後の改善課題である。特に後者では、招待者からお叱りを受ける場面も多々あった。

また、発表形式も電子化していくとの学会の方針に従い、口頭発表をPCと液晶プロジェクターによる発表とした。USBメモリからのデータ取り込みではほぼトラブルが起きず、少数のトラブルもPC接続時間というバッファーの中で解消することができた。発表形式としての完成形をほぼ得ることができたと言えるのではなかろうか。大会参加者の皆様方からは発表形式のことも含め、大会会場ならびに運営に関して概ね好評をいただき、大会実行委員一同で安堵した。

最後に、本大会の開催にあたり、ご協力をいただいた参加者の皆様方、ならびにご支援をいただいた多くの企業、明治大学、学会事務局の方々にあらためて御礼を申し上げる。

2014年度大会実行委員会総務
日髙真誠、渡邉秀典、山川隆、石神健、小川哲弘、森直紀、浜本牧子、中村卓