日本農芸化学会2012年度大会(実行委員長 加納健司 京都大学農学研究科教授)は、2012年3月22日(木)から26日(月)までの5日間、ウェスティン都ホテル京都および京都女子大学を主な会場として開催された。2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響を受けて前年度京都大会は口頭発表が中止となり、異例の2年連続での京都開催となった。期間中は天候には恵まれなかったが、大会参加者数5,430名、ジュニア農芸化学会招待者256名、さらに拡大サイエンスカフェの招待者90名と一般公募者170名を加え、非常に多数の方々にご参加いただいた。

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大会初日22日(木)13時より、ウェスティン都ホテル「山城の間」で、2012年度学会賞等の授賞式が取り行われ、引き続き学会賞(2件)、功績賞(2件)、技術賞(2件)、奨励賞(10件)の講演が行われた。収容人数700名の講演会場はほぼ満席となった。その後、「瑞穂の間」において懇親会が催された。本会のために日本酒、ワイン、ビールをたくさんご寄贈いただいた。関係各社に心より御礼申し上げる。開会式では鏡割りも行われ、日本酒コーナーやワインコーナーも設営され、会場は708名もの参加者の活気と会話に包まれた。

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23日(金)から25日(日)は、会場を京都女子大学に移し、一般講演発表(2,384題)が行われた。事前に書面審査で候補となっていた課題(30題)にはトピックス賞が授与された。この期間中、シンポジウム(27公募課題とJABEEランチョンシンポジウム)、産学官学術交流フォーラム(招待講演2題、報告発表9題、ポスター発表18題)、ランチョンセミナー(14件)、展示(102件)、ミキサーが開催された。また、本会のために、21社(組合も含む)にものぼる多数の企業より飲料をご提供頂いた。各会場での活発な意見交換をされた参加者にとって、提供頂いた飲料が、休憩室や展示会場での安らぎのひとときを演出してくれたことと信じている。提供してくださった企業の方々に御礼申し上げる。大会のお昼休み時間には、京都女子大学のサークルによるパフォーマンス披露も催され、キャンパスを歩く多くの参加者が足をとめて見学した。

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一般講演

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ランチョンセミナー

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ミキサー

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展示会

25日の夕方には、農芸化学会の将来を担う若手101名が聖護院御殿荘に移りFrontiersシンポジウムが開催された。7件の依頼発表を軸に、多いに語った。翌日は、エクスカーションとして伏見の酒造会社見学を企画した。

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また、実行委員会企画の「京料理の挑戦:農芸化学とガストロノミーの融合」と題する拡大サイエンスカフェが一般公開で開催された。京都の老舗料理人と大学研究者が、京料理の技術革新を目指した共同研究の成果が発表し、創作料理の試食も行われた。260名が参加し盛会であった。

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また、2006年度京都大会から始まった高校生の研究発表会「ジュニア農芸化学会」は、今回は文部科学省等の後援と16社の企業や個人からの協賛を頂くことができた。65件の発表件数で、会場には約1000名が集まった。高校生の活力と熱意ある発表の姿に多くの人が感動した。投票の結果、米子高専(鳥取県米子市)の「廃棄物に光を!!~卵殻膜で作った改良型太陽電池~」が最優秀賞に選ばれた。大会後、関心を持った食品会社が同校に対して技術や機械、資金などを提供し、電池の開発に協力するとのニュースが新聞に掲載された。発表終了後は、高校生のための懇親会も開催された。

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ジュニア農芸化学会には、被災地理科教育支援の一環として、4校の教員と生徒を招待することができた。そのうち、3校の生徒が被災地の実態を克明に報告した。悲惨な内容を伝えるその姿は真剣であり、時折、みせてくれる笑顔が大変印象的であった。本被災地理科教育支援事業と発表の様子については新聞等報道で大きく取り挙げられ、これらの報道を機会に、被災地域の高校と学会との支援連携の活動がさらに活発化している。

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今年度の大会では、公益法人化への対応や一般講演の一層の充実化を目指して、大会要旨集として冊子体を刊行せず電子ジャーナルPDF版としたことや一般講演を液晶プロジェクターによるプレゼンテーションで行ったことと等、大きく変更した部分が多かった。この変更に伴い、プログラム集の体裁と内容も刷新した。また、座長も1人で5題を担当する形式に変更した。一部では戸惑いもあり、参加者からいくつかの御意見をいただいた。ケーブルの部分的断線やPCの不調等何らかのトラブルが約1%発生したが、事前想定内であったこともあり、速やかに対処でき、大きな支障には至らなかったと理解している。今回は約1時間ごとに10分間のPC接続時間を設けた。これは本来PC接続が不具合な場合に対応する時間として設定したものであった。しかし、この時間帯は、本来の目的以上に、講演者と直接話せる機会として機能し、参加者からも好評であった上、on timeの学会運営にもつながった。ただし、残念ながら質疑応答時の液晶プロジェクターは控えていただいた。トラブルの最小化を優先したばかりに、参加者に不便をおかけしたことをこの場を借りてお詫びする。今後は、PCを会場に備え付ける等の対処で、この課題は解決できると思われる。また、PDF化に伴い、無線LANシステムをある程度導入しておくことも時代の流れであるかもしれない。本大会の経験が、今後の学会運営の参考になれば幸いである。

最後に、参加者の方から,京都女子大学のアルバイトの学生さんの真摯な態度に感銘を受けた,との御意見を多数いただいたことをご報告するとともに,本大会開催に関して、ご支援・ご協力賜わりました多くの企業,大学,そして参加者の皆様に心から感謝申し上げます。

2012年度大会実行委員会総務
成田宏史、河田照雄、森 直樹、桂 博美