会員のみなさまへ

2007.04.01

第56代日本農芸化学会会長:磯貝 彰

日本農芸化学会会長:磯貝彰

このたび、2007年度大会において、日本農芸化学会会長に選任されました磯貝でございます。会長就任に当たり会員のみなさまにご挨拶を申し上げます。

本学会は2004年に80周年を迎え、熊谷英彦前々会長、上野川修一前会長によって多くの新規事業が行われ、ますます発展しております。

日本農芸化学会誌の「化学と生物」誌への統合、本学会を紹介するためのCD-ROMの作成・配布とWebへの掲載、広報委員会の設置とWeb等での広報活動の充実、サイエンスカフェの開催、「学校教育への農芸化学の普及活動」への支援、公益社団法人化を目指した本部・支部会計の一体化、などがその活動としてあげられます。さらに、英文誌BBBは、J-STAGEで電子化されている雑誌の中で、ダウンロードされる回数が最も多い雑誌となってきております。

こうした諸活動を継続しさらに推進出来るよう、この2年間、特に以下のような問題について考えてみたいと思います。

本学会は、生命・食糧・環境を対象とした学問領域の研究者・技術者の集団であります。会員も大学などの研究者・学生にとどまらず、多くの企業会員が参加していることが、生命科学系の学会としては際だった特徴であります。この特徴を十分に活かした学会運営をすることが、会員の新規獲得、会員数の維持には必要だろうと思います。また、これからの本学会を背負うべき学生会員の獲得のための方策も考えてみたいと思います。   

最近、学会の社会的責任ということが強くいわれております。その一つとして、現代の科学技術社会の中で、一般の方々の科学力を強化するために、学会が一定の役割を果すことが期待されています。前会長の時代に始まったサイエンスカフェについては、一層充実していこうと考えていますが、これについては、共催団体として経費の援助をしていただいている財団法人農芸化学研究奨励会からも、各支部で取り組んでもらえるようにという期待が示されております。また、今後は、一般の方々を対象とした研究成果の発表の場も企画する必要があるようにも思います。  

このような学会のいろいろな役割を考えたとき、Webをどう活用していくかということが一つの課題となります。今後は、学会内外への情報発信機能にとどまらず、学会と会員の、会員相互のまた、学会と社会とのコミュニケーション機能を持ったWebを目指していきたいと思っています。

本学会が同窓会的な色彩を持っていることも特徴の一つです。それは、関連の学科・専攻に所属する学生諸君の将来から見ても、重要なことであります。こうした観点からも、会員名簿の発行が1998年版を最後として止まっていることは問題であります。何とか、会員情報を会員相互で共有できる制度ができないか、考えていきたいと思っております。

なお、公益社団法人化問題は、支部・本部の会計の一本化については、完了いたしましたが、それ以外にも、定款や、学会運営についても幾つかの問題点が指摘されております。こうした問題についても、スケジュールを考えつつ、解決策を検討してきたいと思います。  

私がここに改めていうまでもなく、日本農芸化学会が、また、農芸化学研究者がこれまで、日本や世界の学術や、技術、産業に果たしてきた役割は大きなものがあります。まさに、本学会は基礎から応用に至る研究をベースに、日本のバイオテクノロジーを支えてきた学会であります。21世紀の科学技術戦略の中で、環境問題を意識しつつ「化学と生物」に関わる産業を発展させるためにも、本学会の活動を一層充実させ、さらに発展させていきたい。そのために、私は、この2年間、会長として努力していきたいと思っております。会員のみなさまの格別のご支持とご協力を改めてお願い申し上げます。